SDGsへの取り組み紹介「有機発光性色素の研究」

SDGsは持続可能な開発目標のことを指し、「自然環境に悪影響を与えず、社会活動を維持しつつ、差別、人権問題といった課題を2030年までに解決していこう」という目標です。

化学科では様々な研究を行っており、それぞれSDGsに向ける努力を行っています。その1つとして有機色素の開発、特に固体発光性色素を目指した研究があります。有機色素は有機化合物を使った色素のことで、炭素、水素、酸素などの非金属元素を使います。レアメタルを使わないため比較的安価という強みがありますが、短寿命であるなどまだまだ課題があります。その中で、発光性有機色素の課題に、「溶液中ではよく光るが固体では光りにくい」というものがあります。これは、固体中では色素の分子同士が重なって積層状態になり、分子同士が互いに作用してしまうため、光りにくくなってしまう現象によります。
この問題を解決するために化学科・池田研究室では、立体的に積層できないような有機色素の開発を行っています。具体的には、分子内に下記のようなプロペラ構造を持った有機色素を開発しています。この分子は実際には平面ではなく、立体障害というものがあるので積層構造にはならないと考えられます。このような原理に基づき、固体でも光る有機色素を目指して研究を行っています。

この研究はSDGsうち、「9.産業と技術革命の基盤をつくろう」と「12.つくる責任つかう責任」に該当します。レアメタルなどを使わず安価に作ることができるため、この物質を使ったデバイスが普及することにより、資源保護に加えて多くの人が便利なものを手にしやすくなります。
有機物を用いた研究では、様々な反応を用いて自由に分子を設計できます。また、世界で初めての分子を作るということもでき、もしかしたらその分子が世の中に役立つ可能性もあります。そういったところが、この研究を行う上での楽しみです。