2026年7月30日、平塚市都市整備部みどり公園・水辺課の方々の協力を得て、観光学部 田中伸彦ゼミの学部生・院生ら総勢10名で神奈川県平塚市の「ひらつかシーテラス(注1)」現地巡検を行いました。
「ひらつかシーテラス(写真1)」は、都市公園における民間資金を活用した新たな整備・管理手法として注目されている「Park-PFI制度(注2)」を使い、2025年10月31日に開園しました。国道134号線沿いの湘南平塚海岸に位置する約2.4haの海辺の都市公園です。
観光学との繋がりで言えば、Park-PFI制度は、2026年3月に閣議決定されたばかりの国策「第五次観光立国推進基本計画」で、「観光地の強靭化」を進めるために「庭園・公園等を活用した花や緑豊かな都市・地域の魅力発信」を行う手段として、大きな注目を浴びています。
田中教授は、「『ひらつかシーテラス』を設計し、開園後20年に渡って管理運営する民間企業」を選定するための委員長(平塚市公募対象公園施設設置等予定者選定委員会)を務めました(注3)。そしてコンペを実施し、2020年に事業体(注4)を選定しました。その後、約5年の歳月をかけて交通対策や災害対策、自然環境などへの対策を念頭に原案をブラッシュアップして開園に漕ぎ着けました。
今回の巡検では、まずJR平塚駅から「ひらつかシーテラス」まで徒歩で移動し、公園周辺の住宅街や歩道の整備状況などを確認ました。公園到着後には、平塚市都市整備部みどり公園・水辺課の黒田知沙子主査(東海大学土木工学科卒業生)から、巡検概要を説明していただいた後(写真2)、展望テラス(写真3)やマルシェ棟、BBQレストラン棟(写真4)、公園管理事務所、イベントプレイス、スポーツフィールドなどを巡検しました。そして学生たちからの質問に対し、都市整備部の青木繁部長、阿部智孝課長、杉山友成担当長、伊藤祐介主査らから丁寧な返答を頂きました。
巡検当日は猛暑だったため、「ひらつかシーテラス」に限らず関東全域で屋外への人出が少ない日となりました。ただ、その様な中でも園内でBBQ(冷房完備)を楽しむ人や、「ひらつかシーテラス」から江の島まで続く海辺のサイクリングロードを散歩やジョギングする人、サイクリングする自転車を見かけることができました。
開園前の計画では年間57万人の来園者を見込んでいましたが、既に2025年11月から2026年6月までの8か月間で56万人が「ひらつかシーテラス」を訪れてくれました。滑り出しは好調のようです。
なお、開園前はP-PFIという新制度を活用して公園の設計や管理運営を民間企業に託してしまうことに対し、地元住民から不安な意見も出ていました。しかし開園後には、地元自治会が「ひらつかシーテラス」で夏祭りを実施してくれました。公園が地域に受け入れられたことが、何よりも嬉しいと田中教授は語っています。日本国内を見回すと、近年は、オーバーツーリズムなどで大量の観光客が押し寄せて地元の生活が壊されてしまう事態も少なくありません。平塚市では、多様な意見を踏まえながら地元の人たちを第一に考えたこと、その前提を踏まえた上で外部の人にも活用してもらえるスポットのデザインをしたことが評価できます。今後、日本各地の公園や観光地の整備では、この様なスタンスがますます求められていくと考えられます。
公園は開園がゴールではありません。「ひらつかシーテラス」については、朝の犬の散歩や夕日の鑑賞、週末の運動や食事など、地元の人が心地よく日常を過ごす目的地としての公園活用法を洗練させるとともに、サイクリングロードを活用して湘南の海辺を一体的に繋ぐハブとして機能させ、さらには箱根駅伝の拠点など全国的に注目を浴びる空間としても活用するなど、温かく見守り育てていくべきだと田中教授は語っています。 巡検を終えて、大矢将永さん(文学研究科観光学専攻修士課程2年)は、「ひらつかシーテラスからの相模湾の景色が美しく、吹く風がとても心地よく、湘南のイメージそのものの公園であると感じました。公園では海を眺める近隣住民をみかけ、平塚駅から公園までの道のりが閑静な住宅街だったということもあり、住民を尊重した公園であるとの印象を受けました。お話のなかでは、当初の計画から変更された点があるという内容が印象的でした。市民参加の計画などもあるとのことで、公園の魅力を維持・向上させるために、今後も人の手を加え続けなければならないのだろうとの思いを抱きました」と語っています。



(このテラスは津波災害時の避難場所ともなっている)

注1:ひらつかシーテラス 公式HP
https://hiratsuka-seaterrace.com/
注2:Park-PFIの概要(国土交通省HP)
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/toshi_parkgreen_fr_000059.html
注3:広報ひらつか2020年3月号
https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/common/200063880.pdf
注4:民間企業(コンソーシアム)の構成は以下のとおり
グループ名:平塚 Seaside Park 共同事業体
代表企業:積水ハウス株式会社
構成企業:株式会社石勝エクステリア/株式会社木村植物園/株式会社鴻池組/積水ハウス不動産株式会社/株式会社中澤組/株式会社パスコ