神奈川県内の博物館との連携授業を実施しました

資格教育センターでは9月12日と19日に湘南キャンパス松前記念館で、横浜市歴史博物館とはだの歴史博物館(秦野市)との連携授業を実施しました。本センターでは例年、学芸員を目指す学生たちが現職学芸員の指導の下、博物館の所蔵資料を用いた資料の取り扱いや展示制作の実習を行っています。今年は本センターが開講する「博物館実習2」(担当教員=篠原聰准教授)の一環で実施し、両日合わせ20名の学生が参加しました。

12日には横浜市歴史博物館学芸員の𠮷井大門氏を講師に招き、同館の寄託資料である「伊藤宏見旧蔵資料群」の中から、掛け軸のコンディション調査とドキュメンテーション(情報の整理・記録)を実施しました。初めに𠮷井氏が、「作品を安全に取り扱うことを一番に意識してください。美しい所作は作品の安全につながるだけでなく周りの人を安心させます」と話し、掛け軸の巻き方や巻緒の結び方、木箱への収納方法などを説明。学生たちは2人1組となり、協力して繰り返し練習しました。その後学生たちは𠮷井氏と篠原准教授の指導を受けながら、博物館所蔵の掛け軸の制作年代や形態、技法、破損部分などを確認し、リポートにまとめました。

19日には、はだの歴史博物館学芸員の横山諒人氏を講師に招き、古文書や版木といった所蔵資料のドキュメンテーションを実施しました。今回は、秦野市市政70周年事業の「デジタルミュージアム推進事業」に協力し、資料をデジタルアーカイブ化するために約250点の作品を撮影。学生たちは照明の角度、カメラの解像度を一点ずつ調整し、レポートを制作しました。授業を履修する文学部歴史学科4年次生の小澤碧さんは、「私たちが撮影した写真や、損傷具合などを記録したドキュメンテーションが今後の展示で活用されて多くの人の目に触れるので、責任感を持って取り組みました。貴重な資料をお借りし、実践的な学びさせてもらえたことがとてもうれしいです」と振り返ります。横山氏は、「博物館資料のデジタルアーカイブ化が努力義務となり、人手が足りない中で日々作業にあたっているので、学生の皆さんが協力してくださるのはとてもありがたい。また、実際の資料を扱うことはよい経験になると思うので、こうした連携事業はとても意義のあることだと感じます。地域博物館ではさまざまな資料を扱うので、学芸員を目指す学生の皆さんには学生生活の中で幅広い専門性に触れ、コミュニケーション力や人間性を養ってもらえれば」と話していました。また、実習の様子を見学に来ていた三渓園(横浜市)の学芸員・中村暢子さんは、「学生さんたちの集中力や手際の良さに驚きました。次年度に同園も連携事業を実施したいと考えています」と話していました。