教育研究上の目的及び養成する人材像
芸術学研究科(修士課程)の教育研究上の目的は、時代の変化に合わせ、芸術の今日的課題を究明し、芸術の理論及び表現技術を追求するとともに、自ら問題解決のできる、実践力のある創造的人材を養成することです。その目的を実現するため、芸術学研究科に音響芸術専攻と造型芸術専攻の2専攻を設け、音楽及び美術・デザインにおける学問と実技・実践の両面から教育・研究を行います。
音響芸術専攻の教育研究上の目的は、音響芸術(すなわち音楽)の理論的研究とその現代的課題の究明、演奏・歌唱などに関わる表現技術の研究などを通して専門性を深めると共に、多様化、グローバル化した現代の状況に即応し、音響芸術領域さらには他の専門分野も含めた、横断的で柔軟な人材を養成することです。
造型芸術専攻の教育研究上の目的は、美術やデザインに関わる理論的研究とその現代的課題の究明、制作・創作などに関わる表現技術の研究などを通して専門性を深めると共に、多様化、グローバル化した現代の状況に即応し、造型芸術領域さらには他の専門分野も含めた、横断的で柔軟な人材を養成することです。
3つのポリシー
1ディプロマ・ポリシー
芸術学研究科(修士課程)では、本学の学位授与の方針に従い、以下の知識・技能・能力を備えたと認められる者に学位「修士(芸術学)」を授与します。
- 芸術分野における精深な学識を体系的に理解し、国際社会の新しい側面に対応できる開発能力をもち、文理融合の幅広い教養と研究倫理の知識を身につけている。
- 芸術の専門性と実践力が求められる職業に従事し、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、高い倫理観のもと改善していく自主性や創造性を身につけている。
- 新規性、進歩性、独創性などに基づいた研究テーマを立てる能力を身につけている。
- 専攻分野を中心とする文献、資料の読解力ならびに分析力を身につけている。
- テーマに関連する先行研究または先行作品への的確な理解力を身につけている。
- 創意ある理論的な文章が組み立てられる思考能力を身につけている。
- 創作、演奏などにおける説得力ある表現能力を身につけている。
2カリキュラム・ポリシー
芸術学研究科(修士課程)が定めるディプロマ・ポリシーに基づき、以下に示す教育課程を編成し、実施します。
教育課程・学修成果
芸術学研究科(修士課程)では、芸術分野における研究能力と高度な専門的職能を培うための教育課程を編成しています。研究者としての基礎を培うため、毎年「研究倫理教育」を実施するほか、研究科共通の必修科目として「芸術学総合研究」を設けています。これらは高度な研究能力の育成と幅広い教養の修得に向けた体系的・組織的な取り組みです。
また、音響芸術専攻、造型芸術専攻の両専攻にリサーチワークの要として「研究1~4」を置き、「修士論文またはこれに代わる特定の課題についての研究成果」に繋げる教育を行うとともに、同科目を補完する演習科目として「研究演習1~4」を設置するなど、芸術分野の専門性に応える内容としています。さらに選択科目として講義科目や演習科目を16単位以上修得するというコースワークを編成しています。
音響芸術専攻カリキュラム・ポリシー
音響芸術専攻では、音楽学・演奏両分野が一体となったカリキュラム構成となっています。研究や修士論文作成にあたっては、各自の研究テーマに対し、各指導教員の担当する「音楽研究1~4」及び「音楽研究演習1~4」の中で指導が行われます。また、これらの科目を支える形で多くの専門科目が設定されていますが、それは、「西洋音楽史特講」「日本音楽史特講」等の音楽学関連科目8科目、「音楽療法理論特講」「劇場学特講」等の応用音楽学関連科目3科目、「演奏表現法特講」「楽曲分析特講」等の演奏・創作研究関連科目8科目の3つに分類され、各自の研究テーマに応じて自由に履修できるようになっています。
音楽学分野では、音楽史や民族音楽学、音楽美学、音楽療法などの理論研究が中心となり、修了要件として修士論文の提出が求められます。演奏分野では、各楽器・各時代様式の演奏研究が中心となりますが、修了要件としては修士論文の形での提出が求められます。さらに、修了時にはソロリサイタルを開催することになっています。
本専攻では、学会での研究発表、音楽コンクールへの参加、演奏会の出演等、研究の成果は可能な限り学外で発表することを奨励しており、学外からの評価に耐えうる大学院生の育成を目指しています。
学修成果の評価方法(学位論文の審査基準)
- 修士論文が内規に指定された書式、文字数等で作成されていること。
- 明確なテーマを有し、その焦点から外れることなく、かつ広い視野から論じられていること。
- 規定の修得単位数の確認、学位論文の評価、口頭発表および口述試験の評価に基づき、研究科教授会において有資格出席者の3分の2以上の「可」判定をもって学位審査「合格」とする。
造型芸術専攻カリキュラム・ポリシー
造型芸術専攻では、美術・デザイン両分野の専門性を尊重しつつ、芸術的視野の拡大を目的とし、それぞれの専門分野を横断するように、総合的に造形・芸術を学べるようなカリキュラム構成となっています。
研究や修士論文作成にあたっては、各自の研究テーマに対し、各研究指導教員の担当する「美術学研究1~4」及び「美術学研究演習1~4」、また「デザイン学研究1~4」及び「デザイン学研究演習1~4」の中で指導が行われます。また、この「美術学研究」「美術学研究演習」、「デザイン学研究」「デザイン学研究演習」を支える形で、「造形芸術特講」10科目と「造形芸術理論特講」14科目が用意されていますが、それらは美術・デザイン両分野の所属にかかわらず、かつ各自の研究テーマに応じて自由に選択履修できるようになっています。
美術学分野での研究は、絵画や彫刻・立体作品などの制作研究または美術・造形に関連する理論研究が中心となります。デザイン学分野での研究では、広汎なデザイン各領域におけるそれぞれの研究課題に関する取り組みが行われます。そして美術・デザイン両分野ともに[修士論文]、または[特定の課題についての研究成果及び研究レポート]のいずれかの研究形式での提出が求められます。
美術とデザインの境界領域が曖昧になりつつある今日、各自が研究課題としてその領域に積極的に取り組めるカリキュラム構成としたことで、美術・デザイン双方の学生同士が合同で討議し研究発表する機会や、また、クロスオーバーな思考による先端的な創作研究や学際的な理論研究への取り組みが、これまで以上に活発かつ大胆に展開されることが期待されます。
学修成果の評価方法(学位論文および特定の課題と研究ノートの審査基準)
- 修士論文が内規に指定された書式、文字数等で作成されていること。
- 明確なテーマを有し、その焦点から外れることなく、かつ広い視野から論じられていること。
- 特定の課題による場合は、作品等が明確な創作意図を有し、かつそれが十分に表現されていると認め得るだけの完成度を有していること。
- さらに特定の課題による作品創作などの場合は、作品とともに提出される研究ノートが内規で定められた書式、文字数で作成されており、かつ作品の創作意図などを的確に説明していること。
- 規定の修得単位数の確認、学位論文または特定の課題と研究ノートの評価、口頭発表および口述試験の評価に基づき、研究科教授会において有資格出席者の3分の2以上の「可」判定をもって学位審査「合格」とする。
3アドミッション・ポリシー
本学の「建学の精神」と、芸術学研究科(修士課程)の教育・研究上の目的及び養成する人材像を理解し、自ら学ぶ意欲を持ち、十分な専門分野の基礎学力を有した者を国内外から広く受け入れます。
求める大学院学生像
芸術学研究科(修士課程)で定めている学位授与のために求められている能力を、身に付けられると期待できる基礎学力が十分にある人材。
入学者にもとめる力(知識・技能・能力)
- 専門分野の情報・知識を得るために必要な日本語、外国語(英語、ドイツ語、フランス語のいずれか)の語学力を有する者。
- 芸術分野の専門的な学修をするために必要な学部レベルの十分な基礎学力がある者。
- 芸術の分野で、学問と実技・実践の両面からの学びに対する十分な意欲を有する者。
- 芸術における高度な専門性を支柱としつつ、横断的な思考ができる者。
音響芸術専攻
芸術学研究科(修士課程)がもとめる力に加え、音楽学と演奏のいずれかにおいて専門的な学修をするのに十分な基礎力があり、かつ音楽学と演奏の両面からの学びに意欲を有する者。
造型芸術専攻
芸術学研究科(修士課程)がもとめる力に加え、美術とデザインのいずれかにおいて専門的な学修をするのに十分な基礎力があり、かつ美術またはデザインに関する明確な研究目的と学びへの意欲を有する者。