東海大学公開講座ヒューマンカフェ「最高の睡眠を得るための健康法」を開催しました

札幌キャンパスでは6月26日に札幌市民交流プラザSCARTSコートにて東海大学公開講座ヒューマンカフェ「最高の睡眠を得るための健康法」を開催しました。生物学部生物学科の寺尾晶教授と一般社団法人背骨コンディショニング協会トップスペシャリストの片岡志保氏が講師を務め、第1部では寺尾教授が「生活リズム健康法」と題して、睡眠の基本に始まり、快眠を得るための日常生活の実践法までを分かりやすく講演。第2部ではフィットネスインストラクターとして体操教室や個別の施術などを手掛ける片岡氏が座ってできる体操を中心に「背骨コンディショニング」を紹介しました。

2015年に東海大学生物学部に着任した寺尾教授は、睡眠/覚醒調節メカニズムを明らかにする研究や睡眠の質を改善する食品成分の探索研究に取り組むかたわら、講義や講演会を通して睡眠の大切さを伝えています。第1部では、まず初めに「『食欲』、『性欲』、『睡眠欲』の三大欲求の中で長期に亘って一番我慢できないのが『睡眠欲』であり、睡眠は毎日の生活に欠かす事ができないのですが、その重要性に気付いていない人が多いのではないでしょうか。野生動物にとって眠るという行為は、天敵に襲われる危険性を常に伴いますが、『眠らない動物はいない』ことから、睡眠は生命の維持に欠くことができない重要な役割を持っていると考えられます」と指摘。続いて、「人類が進化する過程で大脳が極度に肥大化しましたが、この大脳をうまく休ませるために我々の睡眠も発達しました。睡眠不足の時に感じる不快感や意欲の無さはまさに大脳機能の低下であり、睡眠の質が生活の質を大きく左右させるため、『より良く生きるにためは、より良く眠る』必要があります」と語り、睡眠の生理学的重要性を説きました。

さらに、ノンレム睡眠とレム睡眠が対をなして約90分周期で繰り返されるヒトの睡眠構築について解説し、深い眠りを得るためにはノンレム睡眠を段階3または4にまで到達させる必要があり、「黄金の90分」と呼ばれる第1周期が特に重要であると説明。第1周期では成長ホルモンの70~80%が分泌され、成長、新陳代謝の促進、アンチエイジングに影響します。さらに第2周期以降の睡眠周期が整い、目覚めすっきり、日中の眠気も解消されます。また、自律神経のバランスも整います」と解説しました。さらに、睡眠不足症候群、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠負債の原因となる睡眠障害を紹介しつつ、質の高い睡眠を得るために日常生活において意識すべき要点を解説。「最高の睡眠を得るための12のポイント」として、「睡眠時間は人それぞれ。日中の眠りに困らなければ十分」「眠りのスケジュールを設定する」「規則正しい三度の食事、規則的な運動習慣」「昼寝をするなら15時前の20~30分前」などと具体的に説明し、ストレス対応やコーヒーなどに含まれるカフェイン摂取など気を付けるべき要因についても詳しく解説しました。最後に、最高の睡眠を得るための具体的な方法として「生活リズム健康法」を取り上げ、「毎朝決まった時間に起きる」「朝食を規則正しく毎日摂る」「日中はできるだけ人と接し、活動的に過ごす」「寝床でスマホを見ない」「眠たくなってから寝床に入る」などの具体的な取り組み例を紹介し、「人はそれぞれ置かれている環境が違うので個々人の睡眠対策は多様です。「生活リズム健康法」を取り入れて自分に合った睡眠のとり方を考えましょう」と呼びかけました。

第2部では、フィットネスインストラクターとして、様々なジャンルの実戦経験を積む片岡氏が、まず背骨の歪みを整え不調を改善する運動プログラムとなる背骨コンディショニングの3要素を紹介。「体の柱であり、脊髄が通る背骨が歪むと骨格全体が歪み、手や足に伸びる神経にも影響が出るため、背骨はとても重要な役割を担っていると言えます。体の不調を改善するためには、固くなった関節や神経を『ゆるめる』、背骨を正しい位置に戻す『矯正』、『筋力の向上』の3要素にバランスよく取り組んでいかなくてはなりません」と話しました。

続いて、参加者に背骨コンディショニングの基礎理論となる「仙腸関節可動理論」、「代償姿勢」、「神経牽引理論」についてレクチャー。骨盤の後面にある仙腸関節の動かし方をはじめ、坐骨神経の伸ばし方、頸椎の整え方などについて解説と実践を交えながら指導し、「背骨や頸椎のずれの矯正は今日のテーマである睡眠障害に悩む人の症状の改善にもつながっています。背骨コンディショニングは、背骨の土台であり、上半身と下半身をつなぐ唯一の骨である仙骨をはじめ背骨全体の歪みを整え、様々な不調を改善する運動プログラムです。ぜひ日常的に実践することで良い睡眠につなげてもらえれば」と話しました。

閉会挨拶のタイミングでは、寺尾教授が所属し、片岡氏がインストラクターを務めるNASスポーツクラブの仲間達からサプライズで花束贈呈があり、寺尾教授、片岡氏を囲んで語り合う様子が見られました。参加者からは、「睡眠と背骨コンディショニングに関するお話を通じて、総合的に体の仕組みを学び、あらためて健康について考えるきっかけになりました」といった声が聞かれました。