第2回教育セミナー2021「これからの保育・教育を考える」を開催しました

東海大学では9月24日にオンラインで、第2回教育セミナー2021「これからの保育・教育を考える」を開催しました。本学は、建学80周年にあたる22年度に「日本まるごと学び改革実行プロジェクト」と題した改組改編を行い、現行の19学部75学科・専攻・課程の教育・研究体制から23学部62学科・専攻に移行する予定です。本セミナーは、新たに開設する児童教育学部の理念や教育・研究活動を周知するとともに、企業や行政、大学など研究機関の識者らと児童教育学のあり方を考える機会とすることを目的としています。来年1月まで全4回のセミナーを開く予定で、今回は相模原市子ども・子育て会議会長の片山知子氏を講師に迎えました。 

初めに山田清志学長が、「ご参加いただいた皆さまには、今後の児童教育に求められるものについてご意見をいただきたいと思っています。本日のセミナーが実りあるものになることを祈念しています」とあいさつ。児童教育学部設置準備室の山本康治教授が企画趣旨を説明し、「コロナ禍により生活様式が変わり、非接触が推進されることで直接的な体験が減っています。どういった学びが必要となるのか、講演を通じて考えていきます」と語りかけました。 

続いて片山氏が、「保育・教育における体験の役割~持続可能な社会の担い手を育てるために~」をテーマに講演しました。文部科学省が掲げる幼稚園教育要領の「持続可能な社会の創り手となることができるようにするための基礎を培うことが求められる」との記述に触れながら、「非接触が推奨されるコロナ禍においても、直接的な体験による保育・教育の機会を設けていく必要がある」と提言。科研費を得て取り組んだ「持続可能な社会を作る日本の保育乳幼児期におけるESD(Education for Sustainable Development=持続可能な開発のための教育)」の研究を紹介し、「ESDとは持続可能な社会を支える後継者の育成であり、特に乳幼児期の教育において重要とされています。日本の乳幼児教育では動植物の飼育といった自然環境を重視した活動がすでに行われており、保育者や地域、行政が一体となって継続していくことが大切です」と説明。また、「子どもは用意された環境ではなく、虫取りや追いかけっこといった遊びの中から多くのものを得て成長します。持続可能な社会の担い手を育てるためには、今現在の保育における経験がとても重要となるため、コロナ禍の難しい状況でもそうした機会を創出してもらいたい」と呼びかけました。

閉会にあたって内田晴久副学長(企画調整担当)があいさつし、「本セミナーには現場で毎日大変な思いをされている保育施設の先生方にも多くご参加いただきました。私たちは世の中における“当たり前”の概念によって教育を考えがちですが、それは時代によって変化しており、未来ではさらに変化しているでしょう。その中で考えなければならないのは持続可能な社会の実現であり、ESDの概念に基づく教育が必要だとあらためて感じました。今後もさまざまな視点から課題に取り組んでいきます」と語りました。