北海道・留萌港に寄港した望星丸で船上記念講演と一般公開を開催しました

東海大学では7月8日と9日に、北海道・留萌港に寄港した本学の海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数=2,174トン)で船上記念講演と一般公開を開催しました。国際航海旅客船の資格を有する「望星丸」は、海洋調査・研究をはじめ、本学学生の実習、海外研修航海、学外からの委託研究、青少年のための洋上教室など幅広い用途で活用されているインテリジェント・シップです。今回の一般公開は、札幌キャンパスの生物学部海洋生物科学科で行った「海洋生物科学フィールド実習」のために同港に寄港するのに合わせて実施したものです。本学では2003年7月に、留萌市、新星マリン漁協と共同調査試験研究を進めていく事業協定を締結しており、環境保全や水産魚類の増殖に関する研究などを共同で推進しています。

8日の船上記念講演には、留萌市の中西俊司市長はじめ新星マリン漁協の関係者、一般市民ら約50名が参加。本学科の山口幹人教授が「環境変動と漁船漁業の水揚げの変化~北海道の状況を中心に~」と題して講演しました。山口教授はまず、北海道周辺海域の現状や上昇傾向にある世界の気温・海水温、温暖化以外の気候変動といった基礎知識について説明した上で、魚の漁獲量増減への気候変動の関わりについて語り、ホタテやコンブ、ブリ、マイワシ、ニシン、ホッケ、サケなど北海道近海で獲れる魚介類の水揚げ量や気候変動の関係について一つひとつ丁寧に解説。「人間の活動と環境が複雑に絡んでいますが、環境変動は一様ではなく、海の生物が受ける影響もさまざまで、魚の獲れ方は変わっていきます。温暖化の緩和はもとより生産資源管理や養殖の技術向上を通じて対応を図っていく必要があります。また、“その時獲れて、安くて美味しい魚を食べる”“たまに贅沢して、高いお魚を食べる”といった意識も日常の生活の中で漁業や環境を守るために心がけたいことです」とまとめました。

4年ぶりとなった9日の一般公開では、家族連れや小学生、市民の皆さんら約350名が来船。ブリッジや観測機器、実習試料などの展示をはじめ、タッチングプールやロープワーク体験などの船内企画を実施しました。さらに、生物学部の南秀樹学部長(海洋生物科学科教授)が委員長を務める海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道(一般社団法人北海道海洋文化フォーラム)実行委員会によるスタンプラリーや○×クイズといった催しも行われ、好評を博しました。来場した子どもたちからは、「タッチプールでいろんなお魚に触れて楽しかった」「乗船実習課程の学生さんが着ている制服がかっこよくて憧れます」といった声が聞かれました。