研究推進部では12月12日に、「2020年度研究交流会”Withコロナにおける新たな研究活動の創出”」をオンラインで開催しました。研究交流会は、総合大学の強みを生かし、理工系や文系、医学系など幅広い分野の研究者による共同研究の促進などを目的として2015年度から実施しています。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、グループウェア「Teams」を使って開催。学内外から約170名の教職員、研究者、学部生、大学院生などが参加しました。
開会にあたり山田清志学長が、学部横断型の共同研究への展望を語り、「今後制度として導入する予定のクラウドファンディングについても意見交換の場を設けていますので、どのような研究が適しているか検討してもらいたい。この交流会が皆さまの研究活動に大きな刺激を与えるものとなることを期待しています」と述べました。今回は、「コロナウイルス関連の研究」「生物・農学関連の研究」「ICT・AI関連の研究」「異分野融合による研究推進」「スポーツ科学の研究」「ドローンに係わる研究」「クラウドファンディングに挑戦してみたい研究」と、テーマごとに会議を設定。1テーマにつき4人から21人の研究者が自身の研究概要を発表しました。「スポーツ科学の研究」では、体育学部などの教員らが陸上競技部駅伝チームなど体育会運動部を対象としたトレーニング、コンディショニングなどの研究事例を紹介。「ICT・AI関連の研究」では、感染対策のため無観客で行われた体操競技大会の得点閲覧システムの開発や、Twitterでの新型コロナに関するツイートの分析など、コロナ禍における新たな研究事例が多数報告されました。また、「クラウドファンディングに挑戦してみたい研究」では、参加した教員が研究の概要と展望を発表。学術系クラウドファンディング「academist」の担当者が研究費募集のポイントや寄付者へのリターン例を紹介しました。
「新型コロナウイルス研究の動向」をテーマとした特別講演では、医学部医学科基礎医学系の山本典生教授と、同学科基盤診療学系の浅井さとみ准教授が登壇しました。山本教授は、日本をはじめ世界各国で展開されている抗ウイルス薬の開発実用化状況を解説したほか、以前研究に取り組んだSARSコロナウイルスの増殖を阻害する薬品が新型コロナに有用か調査していることを報告。「現在は各国で、既存の抗ウイルス薬が活用できるかどうか試験している段階」と語り、実用化までの手順を解説しました。浅井准教授は、大型クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」でクラスターが発生した今年2月からの約10カ月の間、医学部付属病院で受け入れた患者数や重症化のリスク、付属病院で実施し有効だった感染防止対策を紹介。「感染対策は年齢や仕事にかかわらず、全員が徹底しなければ意味がありません。教職員や学生が”オール東海”で同じ方向を向き、全員でコロナ禍を乗り越えていきましょう」と呼びかけました。
また、教員らが研究内容を1枚の写真で表現した「リサーチ・アート」の投票や、参加者によるテーマ別・全体の情報交換会もオンライン上で開かれ、参加者たちが交流を深めました。