大学院総合理工学研究科の柏原さんが共同研究に取り組む企業から表彰されました

大学院総合理工学研究科総合理工学専攻の柏原侑輝さん(機械・航空宇宙コース、指導教員=砂見雄太准教授)が、昨年11月にオンラインで開かれた日本設計工学会主催の国際学会「International Conference on Design Engineering and Science 2020」でBest Student Paper Awardを受賞。これを受け、共同研究に取り組む旭東ダイカスト株式会社の山森一男会長と山森勝利代表取締役社長、技術開発室の渡邉仁室長らが湘南キャンパスを訪れ、柏原さんらに賞状と共同研究開発費を贈りました。

旭東ダイカストと砂見准教授の研究室は2013年から共同研究に取り組んでおり、4年目から当時工学部生だった柏原さんも参加。マグネシウムとレアアースを混合し、耐熱性を高めた合金(Mg-RE合金)の加工技術について研究を進めてきました。この合金は、従来のマグネシウム合金に比べて軽量で鋳造しやすく、また熱を発生しにくい特性を持つため次世代自動車の材料などとして期待されています。柏原さんは溶かしたMg-RE合金をダイカスト法で加工した時の特性について、コンピュータ・シミュレーションと加工実験を組み合わせて研究し、溶かした合金をより速いスピードで金型に流し込んだ方がより強度が高い製品を作れることを明らかにした成果を学会で発表しました。

総合科学技術研究所の岩森暁所長(工学部機械工学科教授)と砂見准教授、柏原さんと対面した山森会長は、「新しいマグネシウムの時代がいつかやってくる、さまざまなものが軽量化されていく中で必ず必要になってくるはずだと思っていました。日本の技術の多くは海外に流れていき、日本のマグネシウム業界は小さくなってしまいましたが、柏原さんらと研究してきた成果を実装化できれば爆発的な需要が期待できます。ぜひ今後も頑張ってください」と激励しました。山森会長から柏原さんに表彰状が贈られ、山森社長から砂見准教授に目録が手渡されました。柏原さんは、「こんなにも評価し、激励していただき、驚きと信じられない気持ちでいっぱいです。学部4年次生の時からこの研究に携わり、研究活動の楽しさを知るとともに、旭東ダイカストの皆さんと研究を続けていけばより面白い結果が生まれるのではないかと考えて取り組んできました。マグネシウム合金は鉄やアルミより軽量なため、車体を軽くして燃費効率を向上させることができ、地球温暖化対策にも貢献できると思います。今後も一歩ずつ研究を深めていきたい」と抱負を語りました。

その後、砂見准教授と柏原さんが山森会長らにキャンパス内を案内し、イメージング研究センターやマイクロ・ナノ研究開発センター、研究室など普段使用している設備を紹介しました。

なお、本年度も砂見准教授の研究室と旭東ダイカストは共同研究契約を結んでマグネシウム合金の研究を続けていきます。