大学院総合理工学研究科の榛葉さんが「化学とマイクロ・ナノシステム学会」で優秀発表賞を受賞しました

大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程4年次生の榛葉健汰さん(指導教員=工学部機械工学科・木村啓志准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター兼務))が5月17日、18日にオンラインで開催された「化学とマイクロ・ナノシステム学会」第43回研究会で優秀発表賞を受賞しました。同研究会は事前に実施された動画でのショートプレゼンテーションによる1次審査を通過した研究者がポスター発表での最終審査に臨み、その成果やポスターの完成度、プレゼンテーション技術などを再度、審査されるものです。今回は80件を超える発表の中から6件の優秀発表賞が選出されました。

榛葉さんが発表したのは、「オンチップポンプ型多臓器Microphy siological System(MPS)を用いた臓器間相互作用の評価」です。榛葉さんが所属する木村研究室では生体模倣システム「MPS」の開発とそれを用いた創薬研究を展開しています。MPSは、生体内環境を模したマイクロ流体デバイスでさまざまな臓器の細胞を培養。細胞の機能を維持・向上させることができます。創薬研究の分野では、動物実験の代替法として期待されています。しかし、このシステムを利用するためには、細胞の栄養を含む培養液をMPSに送るためのポンプやチューブとの接続において熟練した技術や知識、経験が必要とされてきました。榛葉さんは、その課題解消に向けて、従来の細胞培養プレートにポンプやマイクロ流路を内蔵し、これまでよりシンプルで扱いやすくした「スターラポンプ集積型多臓器MPS」を開発。今回の研究ではこの装置を使って取り組んだ薬剤の吸収や代謝を担う小腸・肝臓の二臓器間相互作用の評価結果について発表しました。

榛葉さんは、「学部生のころに木村研究室に所属してから8年目を迎えましたが、自らの専門分野の学会で受賞できて、とても光栄に思います。研究者を目指したのは、興味のあった生物工学を通して社会に貢献したいという思いと、白衣を着て研究に取り組む姿に『かっこいい』と憧れを持ったからでした。安直な理由ではありましたが、研究を始めてからは木村先生をはじめ、多くの方々にサポートしていただき、どんどんとのめり込んでいったように感じています。開発したシステムが社会実装され、創薬プロセスの中でさらに必要とされるように今後も努力を続けていきたい」と語ります。木村准教授は、「優秀発表賞を受賞した研究者のうち、私立大学から選出されたのは榛葉さんだけでした。学部生時代から非常に熱心に研究に取り組み、オリジナリティーが溢れる内容を発表したからこその成果です」と語りました。