秦野市のイベントでロケットストーブを用いた熱音響発電のデモンストレーションを行いました

工学部動力機械工学科(総合科学技術研究所)の長谷川真也准教授らが12月26日に、秦野市・くずはの家で行われた「地球温暖化防止月間イベント~作って学ぼうカーボンニュートラル~」(主催:秦野市環境産業部環境共生課)でロケットストーブを用いた熱音響発電のデモンストレーションを行いました。秦野市は、2050年までに地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」への挑戦を表明するとともに、魅力ある自然を次世代に継承する取り組みを展開しています。毎年12月を「地球温暖化防止月間」としてゼロカーボンシティ実現、地球温暖化防止のための事業を実施しており、今回のイベントもその一環で行われました。ロケットストーブづくりや木工体験教室、薪づくりなどに地域の親子連れらが参加しました。

長谷川准教授と研究室の学生、総合科学技術研究所の千賀麻利子助教、動力機械工学科の松田守且特定研究員らは「東海大学総合科学技術研究所熱音響グループ」として「熱音響機関」の研究に取り組んでいます。熱音響機関は、工場や自動車などでの化石燃料の燃焼によって生じる廃熱(空気中に捨てられる熱)を回収して再利用する技術で、細い管に温度差を加えることで発生する音波を使って発電します。今回は、廃棄する金属缶等で比較的簡単に作成できる「ロケットストーブ」に熱音響機関を取り付けてデモンストレーションを実施し、長谷川准教授が仕組みを説明。また、自転車用の空気入れを改造して細い管の中の空気を圧縮・膨張させることで生まれる温度差を利用した冷却装置も紹介し、参加者たちは実際に機器に触れながら体験しました。

長谷川准教授は、「ロケットストーブを用いた熱音響機関は特殊な技術や材料は必要ないので地元の企業で制作でき、秦野は木材も豊富なので、災害時に活用できるのではないかと期待しています。ストーブの火で暖を取り、煮炊きをしながら、発電した電気でスマートフォンの充電ができる。ソーラーパネルなどが使えない夜間にも使用できるメリットもあります」と説明。総合科学技術研究所の岩森暁所長は、「フロンガスなども使わず、バイオマス燃料を有効活用することで環境にも優しいという特徴があります。今後はよりコンパクト化し、ゆくゆくは企業と連携して実用化を目指してほしい」と期待を語りました。