健康学部健康マネジメント学科4年次生の小林理玖さんがこのほど、「第6回世界健康フォーラムモナリザ賞」を受賞しました。NPO法人世界健康フロンティア研究会が公募する同賞は、「健康な食を心がけましょう」というラテン語「Moneo Alimentationis Sanae」の頭文字から名づけられ、1日の排尿を分析する「24時間採尿」の結果を基に、健康寿命の延伸につながる「食育」や「食環境の改善」に寄与する研究や実践活動を助成するもの。大学の研究者らから応募があり、審査員の満場一致で小林さんの「24 時間採尿を利用した食育プロジェクトの実践―東京都内の諸島・式根島の栄養状態検討及び食育介入―」が選ばれ、昨年12月24日から1月31日までオンラインで開催されている「世界健康フォーラム2021・静岡」で表彰されました。
小林さんは森真理准教授のもとで、湘南キャンパス近隣地域の特産品を用いた栄養バランスのとれた弁当の開発や高校生向けの食育活動に取り組んできました。趣味である離島旅行の延長で、昨夏に東京から高速ジェット船で約3時間の距離にある新島村の式根島で約1カ月の住み込みのアルバイトをした際に、離島の食事に興味を持ったと言います。「島にはコンビニエンスストアやファストフード店がなく、都市部と比べて塩分が多く含まれる食品を間食として摂取する機会がほとんどありません。通年営業している飲食店は1店舗しかないこともあり、朝夕の食事は家族そろって家で食べます。お酒を飲む人が多く、料理も全体的に味付けが濃いのですが、家庭菜園で育てた野菜や自分たちで釣った魚などを使い、品数も多く、バランスの取れた食事をしていると感じました」と話します。卒業論文のテーマとして研究を始め、新島村さわやか健康センターや式根島観光協会の職員への聞き取り調査を行ったほか、子どもたちの食塩摂取量の評価をするために、希望者を募り24時間採尿法調査も行いました。その結果、「食塩摂取量は平均8.3gで、厚生労働省の基準値6.0gと比較すると高かったのですが、以前、同様の調査が行われた兵庫県丹波市の数値よりは抑えられていました。塩分と野菜摂取のバランスを表すナトリウム・カリウム比は3.6で、これも丹波市よりも結果がよく、推奨されている3.0により近い値となりました」とまとめました。
同賞では、調査結果を島民にフィードバックし、地域振興への貢献を目指して今年度中に食育講座や地域の特産品を使った弁当の開発・販売なども計画している点が高く評価されました。指導する森准教授は、「自分でフィールドを切り拓き、課題を見つけ、データを取って解析し、改善方法まで提案する研究活動が評価されたと感じています。彼の活動によって島民の方々によい影響を与え、地域活性化につながれば」と期待を寄せました。