「ソーシャルワーク実習指導報告会」を開催しました

健康学部健康マネジメント学科では7月12日に湘南キャンパスで、2024年度春学期「ソーシャルワーク実習指導報告会」を開催しました。社会福祉士の国家資格取得を目指す学生たちは2年次生の秋から「ソーシャルワーク実習1」「同2」を履修して基礎知識を養い、3年次生の夏に180時間、4年次生の春に60時間、2カ所以上の行政機関、病院、児童相談所、社会福祉協議会、高齢者施設等の福祉施設で実習します。

報告会の開会挨拶では菱川愛教授から「ソーシャルワークの実践に必要な各科目の知識と技術を統合し、社会福祉士としての価値と倫理に基づく支援を行うための実践能力、施設・機関等が地域社会の中で果たす役割の理解、総合的かつ包括的な支援における多職種・多機関、地域住民等との連携のあり方及びその具体を体感した経験をもとに、個別的な困りごとを構成する社会的な要因を見出し、メゾレベル、マクロレベルの実践を組立てる力を獲得すること」を目指している旨、説明がありました。

社会福祉協議会で実習した学生は、「食事は妻に任せきりだったけれど、亡くなってからは自分で作るようになった」という一人暮らしのAさんを例に、移動スーパーや地域住民が気軽に立ち寄って交流できる場の必要性を語りました。続いて、就労継続支援事業所で実習をした学生は、重度の知的障がいのあるBさんについて、同居する両親の親なきあとを考え、ガイドヘルパーやグループホームなどの社会資源を利用し、親に頼らない形での自立生活の可能性を探っている点に着目。地域住民の反対でグループホームの建設を断念したというニュースも引用し、実習先の社会福祉法人で行っていた地域への理解促進を図る説明会や交流会の大切さを訴えるとともに「実習で目の前の人の課題と向き合う中で、ソーシャルワーカーの社会的な役割への理解を深め、社会問題にまで考えを広げていく力が身につきました」と学びを話しました。そのほか、病気や金銭問題、高齢者施設でのさまざまなライフイベントに基づいた考察が報告されました。

実習報告会では、現場で学生を指導された実習先の指導者もオンラインで参加し、「地域で実際に起きている課題を社会問題とつなげて考え、広げていく力は素晴らしいと感じました」「現場で分からないことはノートに書き留めていくことが大切。それを繰り返す中で、マクロな視点まで考えていけるのではないでしょうか」といった感想やアドバイスが送られました。

授業を担当する市川享子准教授は、「学生たちは、ライフモデルに基づいたプライベートなトラブルの背後にあるパブリック・イシューを分析・考察し、幅広い視点でソーシャルワークについて考え、取り組んできました。実習は学生、実習先の指導者の皆さん、教員が相互に協力して構築していくものです。今後もご協力をお願いします」と結びました。