情報理工学部の長幸平教授と内田理教授が3月11日に、仙台市立仙台工業高校が毎年、東日本大震災が発生したこの日に開催している防災に関する講話に講師として招かれ、「グローカルモニタリング:災害監視への新たな取り組み」をテーマに講演しました。
当日は1、2年生400名が参加し、まず長教授が科学研究費(B)の研究として取り組んできた「衛星観測と現地調査による被災地の環境再生モニタリングと地球環境教育」について紹介しました。これは、震災翌年の2012年から長教授と内田教授らのグループが取り組んでいるもので、仙台工業高の教員、生徒らの協力も受けて、半年に1回のペースで宮城県を訪問し、気仙沼市や女川町、北上川流域、仙台市などで衛星画像と現地調査による定点観測で環境再生の状況を記録しています。東日本大震災による津波で水没した北上川流域の水田が、徐々に埋め立てられ、水田として再生していく様子をとらえた衛星画像などが紹介されました。
また、講演の後半では、同研究グループが文部科学省の私立大学研究ブランディング事業として2016年から取り組んでいる「災害・環境変動監視を目的とした グローカル・モニタリング・システム の構築による安全・安心な社会への貢献」についての活動を報告。これは、衛星によるグローバルな災害監視と、ツイッターなどのSNSで発信されるローカルな災害情報を組み合わせた(グローバル+ローカル=グローカル)な災害監視の取り組みです。長教授が衛星による災害監視について説明した後、内田教授がSNSを使って災害情報を書き込むアプリ「DITS (Disaster Information Tweeting System)」と、その書き込みの内容を地図上に表示するアプリ「DIMS (Disaster Information Mapping System)」について紹介し、その積極的な利用を呼び掛けました。
※DITS/DIMSのホームページ:http://glocal-dits.u-tokai.ac.jp/
講演後、調査に協力する同校の柳瀬克紀教諭は、「環境再生の調査は重要であり今後もできるだけ協力します」と話し、佐藤明嘉校長は、「災害時の経験談も大切ですが、こうした科学技術が防災にどう役立つのかといった話は、工業高校の生徒たちにはとても関心深かったと思います。また別にこうした話を地元住民にもしてもらう機会をつくりたい」と語っていました。