医学部医学科の2、3年次生11名が2月23日から3月1日まで、「デンマーク医療福祉研修」に参加しました。デンマークの医療福祉制度に関する学びを通して日本の医療政策や社会保障制度の在り方を考察するとともに、グローバルな視点を養うことを目的に、同国にある東海大学ヨーロッパ学術センター(TUEC)を拠点に実施しているものです。参加者は、個々に設定した学修テーマについて事前に学び、研修に臨みました。

学生たちは、一次医療を担う地域のクリニック(家庭医)で診察のデモンストレーションを見学し、症例や問診の方法について意見交換。家庭医の組合組織でもデンマークの医療システムについて学びました。さらに、デジタル庁や国立血清研究所のバイオバンク、国立衛生研究所などでは、公衆衛生をはじめライフサイエンス、高齢者福祉に関する知見を深めました。本学科と交換留学制度を設けているコペンハーゲン大学では現地の学生の案内で医学部の教育施設を見学し、日本語を学ぶ学生らとも交流しました。
奈良咲さん(当時3年次生)は、「コペンハーゲン大学からの留学生との交流を通じて、両国の医療福祉に対する考え方や制度の違いを詳しく知りたいと考えて参加しました。遠隔医療をテーマに臨みましたが、デジタル化が浸透した社会や医療過疎問題を解決するためのオンライン診療について理解が深まったと感じています。TUECでのミーティングでは、自分以外の参加者の視点からデンマークの医療福祉について掘り下げることができ、患者さんへの対応から国家的なプロジェクトまで、日本が目指すべき方向性や課題を考えながら学べた充実した5日間でした。今後も多角的に考える姿勢を忘れず学修に励みたい」と意欲を見せていました。
指導する松前ひろみ講師(基礎医学系分子生命科学領域)は、「学生たちは日を追うごとに異文化を吸収し、“デンマークに留学したい”“日本でも良医として家庭医を目指したい”といった具体的な目標を語るようになるなど、大きな刺激を受けた様子でした。各訪問先で積極的に質問し、活発に意見を交わす姿も印象的でした。受け入れてくれたTUECのスタッフや訪問先の方々はとても協力的で、東海大とデンマークのネットワークの力をあらためて感じました。学生たちには、研修で得た気づきを糧にさらに学びを深め、リーダーとして本学や日本の医療を牽引してほしい」と期待を語っています。

