医学部医学科・磯崎講師の運動習慣と心臓性突然死に関する論文が『eClinicalMedicine』に掲載されました

磯崎講師(中央)と東海大学ヨーロッパ学術センターのヤコブ・スキュット・イェンセン事務長(左)、カミラ・ニールセンさん

医学部医学科の磯崎翔太郎講師(基盤診療学系法医学領域)とコペンハーゲン大学、デンマーク王立病院の研究者らがこのほど、余暇時の運動習慣が心臓性突然死に大幅に寄与している可能性を明らかにしました。その成果をまとめた論文が3月9日に、国際医学誌『eClinicalMedicine』に掲載されました。

心臓性突然死は、急性心筋梗塞や重篤な不整脈などにより前触れもなく起こります。全死亡の10%、心血管関連死の50%を占める公衆衛生上の重要な課題ですが、予防の可能性については十分に解明されていませんでした。研究グループは、デンマークの一般住民10,100人について、一人あたり約28年間にわたり診療情報や運動に関するアンケートなどの調査結果を分析。死亡例については、死体検案書や医療記録などの情報を用いて心臓性突然死の可能性を評価し、死因の分類を行いました。その結果、余暇時の身体活動量が高い人は低い人に比べ心臓性突然死のリスクが約50%低く、集団レベルでは心臓性突然死の約1/3が身体活動不足と関連している可能性を明らかにしました。

磯崎講師は、「この結果は、通勤や散歩、家事、庭仕事といった誰でも取り組める日常的な活動が、心臓性突然死を防ぐために重要であることを示唆しており、今後の公衆衛生政策や予防医療の強化に貢献できると期待されます」と意義を説明します。

磯崎講師は2025年4月から、コペンハーゲン大学法医学研究所法医遺伝学部門、デンマーク王立病院循環器センター心臓性突然死研究班の客員研究員として現地に滞在。東海大学ヨーロッパ学術センターのサポートを受けて国際共同研究に取り組んでいます。「法医学は死因を明らかにする学問であると同時に、その背後にある病態を理解することで生者の健康や疾病予防にも貢献し得る分野です。これまで法医解剖医・監察医として突然死の診断に向き合う中で、限られた情報から死の背景を十分に説明できないことへの歯がゆさを感じてきました。本研究は突然死のリスクを集団レベルで解析することで、死因究明の知見を公衆衛生や予防医学へとつなぐ可能性を示したものです。死を多角的に理解し、その知見を生者の健康へと橋渡しする。そのような法医学の新たな可能性を今後も探っていきたいと思います」と意欲を語っています。

※『eClinicalMedicine』に掲載された論文は下記URLからご覧いただけます。
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(26)00072-6/fulltext