大学院医学研究科ゲノム多様性解析センターの研究者らが研究会「第3回感染症診断と治療におけるゲノム解析」を実施しました

大学院医学研究科ゲノム多様性解析センターの研究者らが3月30日に伊勢原キャンパスで、研究会「第3回感染症診断と治療におけるゲノム解析」を実施しました。本センターは、最先端のゲノム情報解析技術を感染症の高精度な診断と治療に活用することを目指し、臨床検体に対するゲノム解析とそのための技術開発に取り組んでいます。この研究会は、2018年度から武田科学振興財団特定研究助成の採択(3年間)を受けて実施している「迅速ゲノム解析と人工知能を用いた感染症診断支援システムの開発」に関する研究成果を発表するとともに、感染症医療に関する知見を深めるために開いたものです。当日は、本学の研究者による成果報告と招待講演を行い、学内外の研究者が参加。新型コロナウイルス感染症対策として、各職場や自宅など会場外からも講演や聴講、議論ができるようオンライン会議システムを用いたほか、手指の消毒やマスクの着用、座席の位置に配慮して実施しました。

はじめに、本センター長の今西規教授(医学部医学科基礎医学系分子生命科学)が登壇。「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染症の克服は我々科学者・医学者の重要な使命であると、あらためて感じています。すみやかな微生物の検出や短時間での治療法の開発の鍵を握るのがゲノム解析です。ぜひ活発な議論をお願いします」とあいさつしました。

第一部では本学の研究者5名が研究成果を報告し、第二部では学外から招いた4名の研究者が講演。各テーマについて活発なディスカッションが行われました。最後に、今西教授が講演者らへの謝辞を述べました。

なお、当日のプログラムは以下のとおりです。
【開会のあいさつ】
今西 規(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 教授
大学院医学研究科ゲノム多様性解析センター長/総合医学研究所所員)

【第一部 研究成果報告】
◇迅速ゲノム解析と人工知能を用いた感染症診断支援システムの開発
今西 規(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 教授)
◇Nanopore DNAシークエンサーを用いた迅速な細菌同定法の検討
大野 歩(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 奨励研究員)
◇アレルギー性気道疾患の発症・増悪に関与する環境真菌(体内・室内)の評価法確立にむけて
白石良樹(医学部医学科内科学系呼吸器内科学 特任講師)
◇GenomeSync/GSTK: Classifying metagenomic reads using collection of complete genomes
Kirill Kryukov(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 特定研究員)
◇新型コロナウイルスSARS-CoV-2の比較ゲノム解析
中川 草(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 講師/総合医学研究所特別研究所員)

【第二部 招待講演】
◇網羅的細菌叢解析法によるウシ乳房炎の診断と新規治療法の可能性
篠塚康典(麻布大学獣医学部 講師)
◇感染症起炎菌の迅速同定・定量・感受性試験法の開発[※オンライン講演]
仁井見英樹(富山大学大学院医学薬学研究部 准教授)
◇DNA配列の塩基組成に基づくプラスミドの宿主予測
鈴木治夫(慶應義塾大学環境情報学部 准教授)
◇HBワクチンに対するT・B細胞受容体の反応
宮坂昭生(岩手医科大学消化器内科肝臓分野 准教授)

【閉会のあいさつ】
今西 規(医学部医学科基礎医学系分子生命科学 教授)