医学部医学科の卒業生が「マヒドン王子記念賞国際会議」のラポーターを務めました

医学部医学科の卒業生、佐久間真紀さんと岡田まゆみさんが、タイ・バンコクを拠点にオンラインで開催された「2021年マヒドン王子記念賞国際会議」(Prince Mahidol Award Conference2021=PMAC 主催:タイ王国政府、マヒドン王子記念賞財団 共催:世界保健機関、世界銀行、独立行政法人国際協力機構、ロックフェラー財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほか)に参加。各国の医師らと数名のチームを組み、会議の議事録やサマリーを作成するラポーターを務めました。

PMACは、国際保健に貢献した人を顕彰するとともに国際社会における保健関連の重要な課題の解決を目指して議論する国際会議です。今回は、「COVID-19 公平で健康的な世界への前進」をテーマに2020年8月からプレカンファレンスを開始し、21年1月29日から2月3日までメーンカンファレンスを実施。世界保健機関や世界銀行をはじめ、各国の政府関係者、学識者、研究機関、市民団体の代表者らが参加し、多岐にわたる講演やシンポジウムが行われました。

2020年3月に本学科を卒業し、4月から国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院で研修医として働く佐久間さんは、18年に続く2度目の参加。12月20日に開かれた、「パンデミックに備えた投資:医療制度、グローバルガバナンス、公平性」と題する分科会を担当しました。佐久間さんは、「各国のCOVID-19への対応や医療現場の状況、課題などを知り、世界の保健医療分野でどのような人材が求められているか、自分はどのようにかかわっていくべきかを考える機会になりました。日本の感染症対策が誰によってどのように世界に向けて発信され、それが各国からどう受け止められているかといった視点から日本を振り返ることができたのも収穫です。オンラインによる開催ではありましたが、集中して国際保健医療について学ぶことができました。この経験を糧に、医師としてさらに研鑽を積みたい」と話していました。

岡田さんは2003年3月に本学科を卒業後、医学部付属病院高度救命救急センターなどに勤務。赤十字や国境なき医師団の一員としてレバノン、シリア、リビアなどで難民の支援に従事した際に「公衆衛生や保健医療政策の重要性を痛感」し、現在は愛知県西尾保健所長として地域のCOVID-19対策などを指揮しています。昨年に続き2度目の参加となる岡田さんは、イギリスのデビッド・キャメロン元首相らが講演した全体会議「将来への投資:世界がCOVID-19のような脅威に対して脆弱にならないための保証」(2月1日実施)を担当しました。「パンデミック対策には、医療だけでなく政治や行政、経済、産業といった多岐にわたる分野の連携と協働が不可欠であり、正しい情報をどの地域にもすみやかに届けるためのシステムづくりが必要だとあらためて感じました。人を救うためには、その人を取り巻く環境や社会にまで目を向けなければなりません。医師は、患者さんを治療して命を救うことはもちろん、その人が退院して家族の元に戻れるのか、社会活動を営んでいけるのか、生涯にわたり幸せに暮らしていけるのかまで考えることが大切。医療従事者を目指す皆さんには、そうした広い視野をもって学んでほしい」と語りました。

参加を勧めた本学科の木ノ上高章准教授(衛生学公衆衛生学)は、「COVID-19の対応で実務が大変な中、2名がラポーターとして国際会議の運営に貢献してくれたことをうれしく思います。オンライン開催ということもあって残念ながら今回は学生の参加を見送りましたが、卒業生の活躍が後輩たちのPMACへの継続参加につながればと願っています」と話していました。