医学部の学生が、健康学部健康マネジメント学科が11月25日にオンラインで開催した2021年度第1回KENKOセミナー「学部をまたいで予防について考えてみませんか!?」に参加しました。QOL向上を目指して健康を多角的・多面的にとらえた活動を展開している東海大学KENKOプロジェクトと健康学部が共催し、学生や教職員の健康とよりよい環境づくりのために正しい知識を身につけてもらおうと開いているものです。今回は、初めて本学部と医学部の学生を対象に実施。両学部の学生約20名が、医学部医学科の豊田雅夫准教授(医学部付属病院腎内分泌代謝内科第一診療センター長)と健康学部の森真理准教授の講演を聴講し、グループディスカッションで学びを深めました。
初めに健康学部の有賀誠司教授が、「本セミナーが、病気の予防の重要性についての認識を深めるとともに、両学部の学生のコラボレーションが新たな価値を創造するきかっけとなれば幸いです」とあいさつしました。続いて豊田准教授が、「糖尿病重症化予防の現状と課題~これから東海大学ができることは何か~」と題して講演。日本における糖尿病患者の現状や1型糖尿病と2型糖尿病の違い、患者数の増加や治療費の増大といった課題について解説し、予防の重要性を強調しました。また、医学部付属病院が先駆けとなって地域の医療機関に呼びかけて実践している「尿中アルブミン検査」の成果についても紹介。さらに、経験豊富な医師や看護師、保健師、管理栄養士らで編成されたチームによる糖尿病患者への生活指導が、治療ではなく「予防」として日本で初めて健康保険適用となった意義についても語りました。最後に、「今日はこれから、『減塩』『運動』『3次予防』の方略について、自由な発想で議論してもらいます。両学部生が協力し合い、何をどう変えていくことができるのかを考えてください」と語りかけました。学生たちはこれを受けて4グループに分かれて意見交換し、代表者がその結果を発表しました。
後半は森准教授が、「若い世代の健康課題と食育・食環境改善による予防対策の展望」をテーマに講演。中高生でも高血糖や痩せすぎが多いという健診結果を示し、「将来の生活習慣病罹患者を減らすためには、若い世代の栄養課題の改善が不可欠」と、正しい食事バランスを習得する重要性を訴えました。また、食事改善により降圧剤などの服薬が不要となった高齢者の事例を紹介し、「食育はどんな年齢の人にも有効で、重症化予防にもなっているといえます。“知らぬ間に健康になれる環境づくり”を目指し、私たちを取り巻く食環境を改善する方法を考えていきましょう」と結びました。最後に健康学部の堀真奈美学部長が、「予防は、本学部が人々の健康に最も貢献できる重要な課題であり、新しい学びやビジネスチャンスにつながる未来の成長分野です。医学部の先生方や学生たちとの連携はもちろん、他学部も巻き込んで研究を進め、気がついたら健康になれる環境づくりに貢献していきたい」と語りました。
参加した健康学部の学生は、「豊田先生の講演を聴いて、糖尿病は進行すると運動や食事では改善できなくなると知り、一次予防の重要性を実感しました。今後も積極的にセミナーに参加して医学部の学生と対話を重ね、実効性ある新しい予防医療について考えたい」と意欲を見せていました。医学部の学生は、「健康学部主催の健康サポートスタッフ養成講座に参加したことを機に、医学部とは違った健康へのアプローチに興味を持ち、本セミナーには企画から携わりました。ディスカッションでは多様な意見が出され、さまざまな角度から健康や予防をとらえることができました。今後もともに学び合い、小さくてもインパクトのある“東海大ならでは”のアイデアを出して、人々の健康に貢献したい」と話していました。