医学部医学科5年次生の加藤玲奈さんが立ち上げた学生団体「東海大学ジェンダー・セクシュアリティ勉強会Voice」が活発な活動を展開しています

医学部医学科5年次生の加藤玲奈さんが中心となって立ち上げた学生団体「東海大学ジェンダー・セクシュアリティ勉強会Voice」が、活発な活動を展開しています。この団体は、LGBTsの当事者や支援者らが自由に語り合える場を設けるとともに、LGBTsや性について主体的に学び、周囲への理解を広げることなどを目的として、2021年5月に活動を開始しました。伊勢原キャンパスで学ぶ医学部の学生をはじめ、代々木キャンパス(観光学部)、湘南キャンパス(文学部、教養学部、政治経済学部)の学生ら約40名が参加しています。 

代表を務める加藤さんはVoice立ち上げのきっかけについて、「11人に1人はLGBTsという調査結果があります。東海大にも声を上げられずにいるLGBTsの学生が相当数いると思い、心置きなく語り合えるコミュニティーをつくりたいと思いました」と話します。「当初はLGBTsの勉強会を考えていましたが、医学科の渥美治世先生や教養学部国際学科の荒木圭子先生、小貫大輔先生にジェンダー問題などについて教えていただく中で、人々が性に関する多様な悩みを持っていると知り、ジェンダーやセクシュアリティについてより広く学ぶことを目標にしました。毎年ゴールデンウイークに開催されるLGBTsの啓発・支援運動『プライドウイーク』に合わせて設立しようと準備を進め、オンラインで説明会や親睦会を開いてメンバーを募集。現在は、週2回のオンラインミーティングをベースに活動しています」と経緯を説明します。 

オンラインミーティングでは、選挙やオリンピック・パラリンピックといった時事問題や社会情勢と関連付けながら、性差、フェミニズム、性的同意、同性婚、乳がん、子宮頸がんワクチンなど多岐にわたるテーマを取り上げて意見を交わしています。自主的に調べた内容を発表したり、グループディスカッションをしたりして課題を掘り下げるとともに、世界各国の性や性差に関する話題やLGBTsに対する先進的な取り組みに関する情報を共有し、学びを深めています。「気軽に参加して自由に語り合ってもらえるよう、堅苦しくさのない雰囲気づくりを心がけ、プライバシーにも十分配慮しています」と加藤さんは話します。 

学外活動にも積極的に取り組んでおり、8月28日、29日には、大学のセクシュアリティ関連団体の活動を支援するイベント「Youth Sexual Health Fes!!」(事務局:一般社団法人ゆるっと性教育)に参加。東北大学や筑波大学、福島大学の学生らと意見を交わし、学生のLGBTs関連活動についての意識を高めました。10月2日には、医学科の渥美助教(基盤診療学系臨床検査学)が講師を務めた「第三者介入ワークショップ」(主催:川崎市男女共同参画センター)で、性暴力や性被害を防ぐための第三者の行動について学習。さらに渥美助教の指導のもと、Voiceメンバーに対するアンケート調査の結果を「大学におけるLGBTs当事者の現状」としてまとめ、12月に開催された「第43回全国大学メンタルヘルス学会総会」一般演題ポスター発表(オンデマンド配信)しました。こうした活動が評価され、学校法人東海大学松前重義記念基金が運営する「2021年度自己研鑽奨学金(※)」にも採択されました。 

加藤さんは、「私は付属第四高校(現・付属札幌高校)の卒業生ですが、SNSには付属校の生徒や卒業した先輩からもメッセージが届き、とても励まされています。以前、医学科の先輩が立ち上げたチャレンジセンター・Challenge for the Borderless World(CBW)に所属し、企画力や行動力のある先輩たちから大きな刺激を受けました。その目標の一つでもあったLGBTsに関する活動を始められたことは、自分にとって大きな一歩だと感じています。今後は、全キャンパスの学生に活動を広めるとともに、学生や付属校生を対象としたワークショップを開き、LGBTsに関する啓発や性の大切さを伝える活動をさらに充実させていきたい」と意欲を見せています。 

※学校法人東海大学松前重義記念基金「自己研鑽奨学金」 

大学院生から短大生までの個人やグループで、文化・社会活動やスポーツ・ボランティアなどで優れた計画を持ち、その実現に向けて努力している学生を支援するために交付される奨学金。