医学部医学科6年次生の中川暁子さんが「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2022 京都」で優秀演題賞を受賞しました

医学部医学科の中川暁子さん(6年次生)が、4月16日にオンラインで行われた「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2022 京都」で症例を発表し、優秀演題賞を受賞。指導した医学部付属病院循環器内科の中村則人助教が指導教官賞を受賞しました。このセッションは、第119回日本内科学会総会・講演会に併せて開催されたものです。今後の内科学を担う医学生や研修医がベッドサイドで経験した貴重な症例等を持ち寄ってディスカッションすることにより、内科に興味を持ってもらうとともに内科医として研鑽を積む場所を提供するために開かれています。

中川さんは、「COVID-19 ワクチン接種後に肺高血圧症を呈し抗凝固療法が奏功した1例」をテーマに、新型コロナウイルスワクチンの免疫反応などによって肺の微小血管に生じた血栓が肺高血圧症を引き起こしたと考えられる、希少な症例について発表。患者のワクチン接種から入院時までの状態や、血液、X線、CTなどの検査結果、薬剤投与と入院後の経過に関する分析結果を紹介し、肺高血圧症の原因の鑑別過程についても説明しました。

同病院循環器内科・鳥居翔講師の研究室で実験研究助手を務める中川さんは、臨床や研究に熱心に取り組む医師の姿に感銘を受け、自身も症例報告の経験を積みたいと学会への参加を決意。鳥居講師や相原一樹医師らのサポートのもと、本症例の患者を担当した中村助教の指導を受けながら発表の準備を進めました。「COVID-19のワクチンに対する副反応については未知の部分が大きいため、副反応の発症から退院に至るまでの詳細な状況について患者さんにお聞きしたほか、アメリカの研究データベースを検索して関連論文を徹底的に読みました。中村先生からは、症例に関する医学的内容をはじめ、わかりやすい説明の仕方やスライドの作成法を教えていただき、さらに本番前には循環器内科の先生方を前にプレゼンテーションする機会を得て、多くの貴重なアドバイスをいただきました。お忙しい中にもかかわらず、いつも気持ちよく時間を割いて丁寧に指導し、応援してくださった先生方に感謝しています」と話します。

中川さんはこれまで、タイ・バンコクで開催された国際保健に関する国際会議「2020年マヒドン王子記念賞国際会議」でラポーターを務めるなど、さまざまな活動に取り組んできました。「常に感じることは、東海大学は学生の挑戦を歓迎し、しっかりとバックアップしてくれることです。今回の発表でも先生方が真剣に向き合ってくださったおかげで、医学的な知識を深めるだけでなく、研究に対する意識や意欲を高めることができました。本症例を論文にまとめるのが当面の目標です。国家試験に向けてさらに勉学に励むとともに、一連の経験を生かしながら医師として人々に貢献していきたいです」と意欲を見せていました。

中村助教は、「疑問解決への積極的なアプローチが中川さんの素晴らしさ。200件に及ぶ論文を読み込み、学内の研究者はもちろん海外の研究者にもメールで質問するといった真摯で前向きな姿勢に、医師としても研究者としても刺激を受けました。彼女なら素晴らしい医師になると確信しています」とコメント。鳥居講師は、「中川さんの努力に敬意を表します。今後も探究心を持ち続け、症例や研究データを積極的にアウトプットしてほしい」と期待を語っています。