医学部と健康学部では4月23日と5月7日に、学術交流協定を締結している昭和薬科大学との共同による「多職種連携チーム医療演習」をオンラインで実施しました。この授業は、医師、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師を目指す学生が各職種の役割を理解するとともに、それぞれの職種の特性を生かしながら連携してチーム医療を実現するための知識や技能、態度の修得を目指すものです。医学部医学科5年次生と同看護学科4年次生、健康学部健康マネジメント学科3、4年次生、大学院健康科学研究科の大学院生、昭和薬科大学薬学部6年次生の計355名が、各学科の学生が混在した40チームを編成。WEBビデオ会議システム「Zoom」のブレイクアウトルーム機能を用い、2日間にわたって多様な視点から患者の事例について討議しました。
演習に先立ち、医学部の川田浩志副学部長(医学科長、内科学系血液・腫瘍内科学)、看護学科の今泉郷子学科長、健康学部の有賀誠司学部長補佐(同学部の舳松克代准教授が代読)、昭和薬科大学臨床薬学教育研究センター実践薬学部門の廣原正宜教授があいさつ。科目責任者を務めるメディカルサイエンスカレッジ(伊勢原教育計画部)の濵田昌史部長(医学部医学科専門診療学系耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)が本科目の目的や進め方、留意点について説明し、「質の高い医療を提供するためには多職種によるチームの良好なコミュニケーションが不可欠です。ぜひ積極的に参加し、その意義やあり方を学んでください」と語りかけました。
各チームに分かれた学生たちは教員をファシリテーターとして、あらかじめ指定された患者の事例について討議。病態を把握した上で、患者の希望や家族状況、経済状況といった心理的、社会的、倫理的問題を考慮しながら治療やケアの方法について意見を交わし、チームとして目指す医療の方向性を決定して発表しました。最後にファシリテーターが優秀な討議・発表をしたチームを選び、表彰しました。
医学科の学生は、「専門分野により視点が異なることを理解した上でそれぞれの強みを生かし、円滑なコミュニケーションを図りながら目標を設定・実践するチーム医療の重要性を体感できました。多分野に関する知識を身に付けるとともに、専門分野についてわかりやすく説明する話術も磨いていきたい」とコメント。看護学科の学生は、「多職種が互いの知識や経験を共有することで、それまで見えなかった患者さんの変化に気づくことができるようになり、それが患者さんや家族が納得できる医療につながると思います。常に多職種連携を意識しながら実習に取り組みます」と意欲を見せていました。健康学部の学生は、「医療の知識がほとんどなかったので最初は緊張しましたが、意見を交わすことで自分の立場や役割を自覚し、社会保障の観点からチームに貢献できたと思います。多職種が連携して患者さんにとってよりよいゴールを見出していく過程を、社会に出る前に経験できてよかった。今後の学びに生かします」と話していました。
ファシリテーターを務めた教員からは、「互いによいパスを出し合って議論を深め、解決策を導こうとする姿を見て、いつか皆さんと同じチームで医療に取り組みたいと思いました。ぜひその姿勢を持ち続けてください」「多職種が真にリスペクトし合っていれば、異なる意見をしっかりと述べたり、自分と違う意見に真摯に耳を傾けたりできるはずです。よりよいチーム医療を目指して、さらに研鑽を積んでほしい」「医療現場では想像力を働かせることも大切です。“患者さんはなぜそう発言したのか”“患者さんの本意はどこにあるのか”といったことまで考えながら支援してください」といった期待が寄せられました。