医学部と健康学部が昭和薬科大学と共同で「多職種連携チーム医療演習」を実施しました

医学部と健康学部では4月22日と5月6日に、学術交流協定を締結している昭和薬科大学で「2023年度多職種連携チーム医療演習」を実施しました。本演習は、医師、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師を目指す学生が各職種の役割を理解するとともに、チーム医療を実現するための知識や技能、態度の修得を目指すものです。初めての対面開催となった今回は、医学部医学科5年次生と看護学科4年次生、健康学部健康マネジメント学科3、4年次生、昭和薬科大学薬学部6年次生の計326名が、各学科の学生が混在した40チームを編成。初日の全体会に続いて、教員をファシリテーターとして、あらかじめ指定された患者の事例について病態を把握したうえで、患者の希望や家族状況、経済状況などを考慮しながら治療やケアの方法について討議し発表しました。最後にファシリテーターが優秀な発表をしたチームを選び、表彰しました。

黒澤明希子さん(医学科5年次生)は、「治療以外の知識についても座学では学んできましたが、退院後のケアや他機関との連携など理解が不足している部分があり、医師だけでは何もできないのだとあらためて感じました。初日は皆からなかなか意見が出ませんでしたが、2日目は打ち解けて議論も進み、実際の現場でもチーム内の信頼関係やコミュニケーションが大切になると実感しました。この経験を生かして周りから信頼され、助け合える医師になりたい」とコメント。

佐野佳南さん(看護学科4年次生)は、「看護師は患者さんと医療従事者をつなぐだけでなく、医療従事者同士をつなぐ役割も担えるとわかりました。各職種の業務について理解を深めるとともに、看護師が貢献できることを積極的に発信する必要性や、患者さんの状況や思いを正しく説明する大切さを学びました。また、患者さんを“生活者”として支援する視点を見出せたことも収穫です。患者さんが悩みや心配事を遠慮なく話せる看護師を目指して努力します」と意欲を見せていました。

菅野智美さん(健康学部3年次生)は、「患者さんの日々の生活に目を向け、医療職者とは違う視点で意見するよう心掛けました。ディスカッションを通して、言葉にする難しさも、他職種の人に理解してもらう難しさも感じました。患者さんや家族が望む暮らしを実現できるよう、自分にできることを探していきます」と意気込みを語りました。

演習の責任者を務めたメディカルサイエンスカレッジ(伊勢原教育計画部)部長の濵田昌史教授(医学部医学科)は、「本演習は2015年から構想を練ってきたもので、過去には北里大学での演習も見学させてもらいました。昭和薬科大と協定を結び、全学科の教員が協力して実際の患者の症例を基にシナリオを作成するなど、長年にわたって準備をしてきました。コロナ禍で過去2年間はオンラインでの実施となり、今回が念願の対面開催。学生たちが積極的に意見を交わす姿が見られました。国家試験合格を目指すだけではなく、学生のうちから医療従事者の一員として振る舞い、卒業後は即戦力として働けるようになってほしい」と狙いを語ります。看護学科の大山太准教授は、「現場では全てを医師に頼るのではなく、看護師として自分は何をする存在なのかを考え、治療と心理的サポートの両面で専門性を発揮できる人になってほしいと考えています。演習を通してハブとしての看護師の役割も学んでくれたのでは」とコメント。健康マネジメント学科の阿部正昭教授は、「シナリオには進行性の病気や完治は難しい症例もあり、仕事や出産、家族の状況など、考えなければならないことが多くありました。退院後の生活や地域包括支援センターとの連携などにも目を向け、座学だけではイメージしきれない多職種、多機関との連携についても考える機会になったと思います」と話していました。