医学部医学科が「タイ研修」を実施しました

医学部医学科では9月2日から10日まで、「タイ研修」を実施しました。本学科では、2015年8月にタイ公衆衛生省と医療分野を担う人材育成での連携に向けた覚書を取り交わし、16年1月には同国のチュラロンコン大学医学部と学術交流・学生交換に関する協定を締結するなど、タイの医療関連機関との連携を推進しています。この研修は、タイの保健医療システムや伝統医療、医療ツーリズムなどを学んでもらうことを目的に4年次生の専門選択科目「中進国における保健医療サービス(タイ研修)」として実施しており、今回は6名が参加しました。

一行は、タイ公衆衛生省で医療制度や伝統医療についての講義を受け、省内の伝統医療クリニックを見学。マヒドン大学シリラート病院応用タイ伝統医療センターでは大学の付属病院におけるタイの伝統医療の応用について学びました。また、一次医療を担う地方のヘルスセンターから三次医療を提供する病院まで、3つの規模の公的医療機関を訪問。最先端の医療を提供する赤十字クイーンサバーン記念病院とチュラロンコン大学医学部医学付属病院、医療ツーリズムを展開しているサミティベ病院も見学しました。さらに、本学と学術交流協定を締結しているモンクット王ラカバン工科大学医学部では、同行した本学科国際交流委員長の加藤裕幸准教授(外科学系整形外科学領域)が訪問記念講演。このほか、感染症や医療ツーリズムビジネスに関するレクチャーも専門家から受けました。

学生たちは、「タイ研修の前にデンマーク研修にも参加したので、それぞれの保健医療制度を比較しながら理解を深められました。世界のよりよいシステムを日本に取り入れることも医師に求められる視点であり、有意義な経験ができました」「市場の見学や講義を通じてさまざまな感染症の実情や対策について学び、公衆衛生の意義や疾患のバックグラウンドを把握する大切さを実感しました」と振り返りました。また、「西洋医学と伝統医療を融合させたタイの診療に興味を持ったので、今後は漢方医学にも注目しながら臨床実習に取り組みたい」「世界各国から訪れる患者さんに最先端の医療を提供する医療ツーリズムの実際を知って驚きました。グローバル化が進む中、文化や習慣が異なる海外の患者さんに対応できる医師が求められることを肌で感じました。広い見識を持ち、多様なニーズに応えられる良医を目指します」と意欲を見せていました。

指導する木ノ上高章准教授(基盤診療学系衛生学公衆衛生学領域)は、「タイにおける保健医療サービスの提供構造を知ることで日本の制度を見つめ直すとともに、伝統医療の提供システムや、公的・私的医療体制の共存、それに対応するための医学教育についても学ぶ機会になったと思います。タイの保健医療も社会に合わせて急速に変化し、それと並行して果敢な医学教育プログラムが展開されています。そうした実情を体感し、勉学意欲を高めてもらうのも本研修の狙いであり、今後も多くの学生に参加してほしい」と話しています。