【生涯スポーツ学科】谷木 龍男先生【教員紹介】

谷木 龍男 准教授

やぎ たつお

所属 体育学部 生涯スポーツ学科 

学位

博士(体育科学)

研究分野

体育科学/スポーツ科学/スポーツ心理学/健康心理学/ポジティブ心理学/臨床心理学/保健学 

キーワード

#楽しさ #フロー #エンゲージメント #変性意識状態 #マインドフルネス #自律訓練法 #メンタルトレーニング #スポーツカウンセリング #ジェンダー #性的マイノリティ #メンタルヘルス #ウェルビーイング #健康生成論 #首尾一貫感覚


スポーツを楽しむことを探求する

スポーツの楽しさ:フロー

 スポーツの楽しさ(enjoyment)は、フロー(Csikszentmihalyi, 1990)と呼ばれることがあります。アスリートが「ゾーンに入った」(in the “ZONE”)と表現する状態であり、ピークパフォーマンス(個人の能力を最大限に発揮すること)が達成されるとされています。また、ビジネスの分野で注目されている、ワークエンゲージメントと非常に類似した概念でもあります。

 私はスポーツにおけるフロー(スポーツ・フロー)を測定する尺度:スポーツ・フロー尺度の開発、開発した尺度を用いてスポーツ・フローに関連する要因の特定、特定された要因に心理技法を用いて介入することによるスポーツ・フローの向上を実証した、一連の研究と論文によって博士(体育科学)を授与されています。現在でもスポーツ・フローに関連する要因の特定と機序の解明、そして各種の心理技法によるスポーツ・フローの向上を研究しています。

 また、フロー理論と健康生成論、フローと首尾一貫感覚との類似性についても関心をもっており、理論的・実証的検討を進めていく予定です。

メンタル・トレーニング、マインドフルネス、自律訓練法

 メンタル・トレーニング(Metal Training; MT)とは、リラクセーション、イメージ、注意集中、目標設定などの心理的スキルを習得し、練習の質の向上や試合などでの実力発揮を目指すものです。メンタル・トレーニングのベースには認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy: CBT)があります。CBTは人の認知(物事の見方や考え方)や行動を変容させるための働きかけや心理的技法群の総称です。現在は、第三世代のCBTが登場しており、その代表的な技法であるマインドフルネスが世界中で流行しています。

 私は、公認心理師と自律訓練法(Autogenic Training; AT)の指導士資格を保持しています。ATとは、1932年にドイツの医師Schultzが創始した心理生理的治療法で、公式を唱えながら身体にさりげなく注意を集中すること(受動的注意集中)で身心のリラクセーションが得られます。受動的注意集中はマインドフルネスと非常に類似した概念です。私は、ATの体系に基づいたMTプログラムを開発し、実際のチームや選手を対象として効果を検討しています。

 また、MTはスポーツに限らず、教育、医療、ビジネスなど、様々な分野で活用されています。今後は、災害現場で活動される消防士、警察官、自衛隊員などの公安職や医師、看護師などの医療職の方々に対して、PTSD予防の一環として、ATやマインドフルネスを体験していただく機会を作っていこうと考えています。

性的マイノリティの組織的スポーツ活動

 近年は、性的マイノリティの組織的スポーツ活動について学際的に検討しています。このテーマは世界でもほとんど行われていません。社会学、心理学、保健学、ジェンダー学など様々な研究者が連携し、フィールドワークやインタビュー調査、質問紙調査など多様な調査方法を組み合わせて、研究を進めていく予定です。このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、今後、大きく発展していく可能性を秘めていると感じています。


谷木先生が注力しているSDGs


生涯スポーツ学科に興味がある受験生へ

スポーツを楽しむこと、楽しさを感じることは、スポーツの醍醐味であり、他の何事にも代えがたいものです。 スポーツにおいて永遠に勝ち続ける選手やチームは存在しませんが、スポーツに「夢中になる」「没頭する」という経験は、人を大きく成長させます。スポーツにおいて実力を発揮し優れたパフォーマンスを達成するために、また人生において潜在能力を十分に開花させ、ウェルビーイングを高めるためにも、スポーツを楽しむことの意味を一緒に考えてみませんか?

本研究内容に関心がある外部の方へ

スポーツの現場で発展したスポーツ心理学やメンタル・トレーニングの理論や技法は、社員のメンタルヘルスやチームの生産性向上などを目的として、ビジネスの分野にも応用されています。講習会や共同研究などのご依頼は随時受け付けております。


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