「第8回身体科学研究会」を開催しました

湘南キャンパスで1月24日に、「第8回身体科学研究会」を開催しました。本研究会は、「身体に係わる科学的・実戦的研究を促進し、会員相互の情報交換を幅広く行うことによって、体育・スポーツの普及・発展に寄与すること」を目的として、2018年度に本研究会理事長で本学スポーツ医科学研究所の宮崎誠司所長(当時、キャンパスライフセンター健康推進担当部長、体育学部教授)を中心に設立し、研究交流の場としています。今回は野坂俊弥教授(体育学部)が大会長を、高尾将幸准教授(同)が実行委員長を務めました。

当日は、初めに19号館カフェラウンジでポスター発表を実施。本学体育学部、大学院体育学研究科、スポーツ医科学研究所の教員、大学院生、学部生から16件の発表があり、フラッシュトークとして代表者が参加者に向けて研究の背景や概要、成果を語り、各ポスターの前では発表者と参加者が活発にディスカッションしました。続いて場所をオープンマルチアトリエに移し、シンポジウム「身体:外から掴む、内から掴む―体育・スポーツ科学からの身体論への挑戦―」を実施。スポーツ医科学研究所の山田クリス孝介准教授が司会を務め、久保正秋本学名誉教授とスポーツ医科学研究所の山田洋所長、本シンポジウム企画者の武田大輔教授(体育学部)が登壇しました。

初めに武田教授が主旨を説明し、「体育・スポーツ領域は自然科学と人文・社会科学が併存する複合領域ですが、互いの前提や方法論を十分に共有しないまま議論が進められる場面が少なくありません。本シンポジウムではこの課題意識の下、『身体』をキーワードに、自然科学的に『外から捉え』、人文・臨床的な立場からは『内から捉える』両方の視点から議論したいと考えました」と語りました。続いての話題提供ではまず久保名誉教授が、「教育哲学から身体を捉える視点」として講演し、本学退職後、スポーツ&レジャー研究所を立ち上げて取り組んできた身体教育に関する多様な研究について紹介。主体としての身体として「生きられた身体」の重要性を哲学的観点から論じました。山田所長は、「身体を“外から掴む”バイオメカニクス」をテーマに、スポーツ・バイオメカニクスを巡る近隣領域とアプローチの違い、バイオメカニクスによる外部観察手法の有効性を示しつつ、内部からの視点の重要性や両者の融合の可能性について言及しました。武田教授は、「身体:内から掴む 心理サポート実践で語られる生きられた身体」と題して、自らがトップレベルのアスリートを対象に行ってきた、臨床スポーツ心理学に基づいた実践の具体例を示し、アスリートが自分の身体感覚を発見していく詳細な過程と、外部からの指示に依存していた状態から自身の身体との対話を通じて主体性を回復していく様子について報告しました。会場も交えた全体討議では、学生教育への応用や最新技術を用いた研究のあり方、異分野間での共同研究の重要性など多岐にわたるテーマで登壇者らが熱心に意見を交わしました。

閉会式では研究奨励賞の表彰を行い、ポスター発表の学生部門にエントリーした10件の中から各教員による投票で決定した2名の受賞者に、宮崎教授から表彰状と副賞を授与しました。最後に大会長の野坂教授があいさつし、「学生の発表はどれも大変エキサイティングで、面白い内容でした。私達にとっての自慢の学生であり、勇気をもって発表した経験を今後の人生に役立ててもらいたいと願っています。また、シンポジウムでも非常に得るものが多くあり、充実した時間を過ごせたと感じています」とまとめました。

研究奨励賞受賞研究は以下のとおりです。
「競技かるたのパフォーマンスを『取り』の時間的構造から捉える」 伊藤凜さん(体育学部競技スポーツ学科4年次生)
「日本と韓国におけるスポーツ政策の国際比較―スポーツ基本計画の政策体系と内容に着目して―」 ジュミンソンさん(体育学部生涯スポーツ学科4年次生)