「公共政策及び社会秩序に関する国際ワークショップ」を開催しました

政治経済学部政治学科では12月16日に湘南キャンパスで、政治学科研究報告会「公共政策及び社会秩序に関する国際ワークショップ」を開催しました。コロナ禍で休止していた本報告会は、今年度から再開。学科内外での学術交流を促すために1~2カ月に1回程度、教員の研究報告や論文解説などをしてきました。今回のワークショップは平井新講師と鈴木悠講師が企画し、SDGsに関連する複数の領域について諸外国の研究者と比較・検討することを目的に、公共政策や社会秩序に関するイギリス、台湾、香港の研究者らを招きました。

初めに、平井講師が企画の趣旨を説明し、講演や活発な議論への期待を語りました。続いて国立政治大学(台湾)の陳敦源教授が「漸進主義はグリーン政策に破滅をもたらすのか? 台湾の電動バイク購入補助金のレンズ」をテーマに語り、電動バイクの購入補助金を導入した台湾では、ガソリンバイクを扱う企業による反対運動が起きたことなどに触れ、環境に配慮した取り組みの難しさを解説しました。サリー大学(イギリス)のダニエル・マッカーシー教授は「民主主義と権威主義体制における警察に対する国民の信頼を理解する」と題し、警察への信頼度が国家への信頼度につながることや、政治的汚職が不信感につながるといった人々の心の動きを説明し、どちらの社会も警察への信頼度が高い現状を説明しました。香港教育大学のローレンス・ホー助教は「新型コロナウイルス感染症後の取り締まりの社会学:ニューノーマルにおける取り締まりと社会」をテーマに、コロナ禍での警察の役割や人々との関係について講演。シェフィールド大学(イギリス)のコワイ(ヴィック)・リー博士は「グリーンドライブへの分岐点:中国と日本の資本主義の多様性と自動車の電動化」と題して、中国の電気自動車産業が急速に加速している一方、自動車製造で第一線を走ってきた日本がEV開発では出遅れているといった現状を解説しました。早稲田大学のダニエル・イェン氏は、「発展的社会政策は立ち止まる:東アジアの4つの管轄区における新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中での現金給付制度」について解説。それぞれの発表後には多くの質問が上がり、活発な議論を展開しました。

平井講師は、「コロナの影響で集まって研究する機会が失われてしまっていたので、ネットワークを広げるきっかけになればと、知り合いの研究者に声をかけました。今後は、大学院生が研究成果を発表する機会なども設け、海外の研究者と交流する場を広げていきたい」と今後の抱負を語りました。