物理学科の櫛田教授と西嶋教授が所属する研究グループの論文がイギリスの科学誌『Nature』に掲載されました

理学部物理学科の櫛田淳子教授と西嶋恭司教授が所属している国際共同プロジェクト「MAGIC」グループが今年1月、スペイン領カナリア諸島ラパルマ島にある口径17mのチェレンコフ望遠鏡で初めてガンマ線バーストからの信号を観測することに成功。成果をまとめた論文が、11月21日付のイギリスの科学誌『Nature』電子版に掲載されました。MAGICグループは、ドイツ、スペイン、イタリア、スイス、日本など8カ国21研究機関200名以上からなる国際共同研究チームで、世界最大のチェレンコフ望遠鏡2台を使用し、超高エネルギーガンマ線を常時観測。櫛田教授と西嶋教授はメンバーとして年に数回ラパルマ島で観測・分析の作業を担当しており、櫛田教授はその中で観測チームリーダーも務めています。

これまでの研究で、超新星残骸やブラックホールが中心にある活動銀河核などの高エネルギー天体からの超高エネルギーガンマ線を検出することに成功してきました。しかし、宇宙のどこかで突発的に現れる宇宙最大の爆発現象「ガンマ線バースト」は、エネルギーが放射される時間が長くとも数分間しか継続しないこともあり、その信号を捉えることは難しいとされてきました。MAGICグループでは、NASAのガンマ線衛星などから発信される位置情報を伴ったアラートを受けてすぐに観測を開始できるシステムを整備。今回はアラートを受けてから40秒と短時間で観測を始め、地上のチェレンコフ望遠鏡では世界で初めて信号を捉えることに成功しました。このガンマ線バーストによるガンマ線放射は、可視光のエネルギーの1兆倍と極めて高いエネルギーに達していることが分かり、X線の放射メカニズムとは異なる新しい成分があることを明確にしています。

櫛田教授は、「MAGICグループが入念に準備してきたからこそ得られた成果であり、信号を捉えたときは『ついに観測できた』と達成感で胸がいっぱいになりました。また、この結果をもとに新しい物理が今後解明されていくと思うので、こうした事例をどんどん増やしていければ」とコメント。西嶋教授は、「東海大学では我々教員だけでなく、大学院生も観測やデータの解析に尽力しています。こうした成果は、ほかの学生への刺激になるでしょうし、研究へのモチベーションにもつながると期待しています」と語っています。

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