『只見とっておきの話Ⅱ』に寄稿文が掲載されました

観光学部観光学科の田中伸彦教授の寄稿が掲載された書籍『只見とっておきの話Ⅱ』が、昨年11月に福島県只見町より発行されました。この本は、同町で毎月発行されている「広報ただみ」の2010年2月号から20年3月号までに掲載された「町史とっておきの話」全122話を自然編・歴史編・民俗編に分類して再編集されたもの。10年に町制50周年記念事業として刊行された『只見とっておきの話』の第2弾となっています。同町は生物多様性の保護・保全とそれらの持続可能な利用を実践する地域「ユネスコエコパーク」に登録されており、各編では3つの視点から同町の豊かな自然と人間との共存の様子が書かれています。

田中教授の寄稿が掲載された「自然編」には、「只見町と生態系サービス」をテーマに、環境省の研究プロジェクト・地球環境研究総合推進費「里山イニシアティブに資する森林生態系サービスの総合評価手法」に参画した6名の研究者が執筆しました。田中教授は「ディズニーランドから只見の森のレジャーを考える」と題し、土壌形成や水の循環、作物の成長など森林生態系から人間が享受する利益を指す「生態系サービス」のうち、観光が大きくかかわる「文化的サービス」について、ディズニーランドの高度なホスピタリティにたとえて解説。他県の人や町民らが山菜取りや草花観察、昆虫採集といったレジャーを楽しむためには、生態系サービスが続くよう環境を維持するサポートが必要であると提言しました。田中教授は、「08年から3年間続いた研究プロジェクトをきっかけに、その後も継続調査のために只見町を訪問する中で、県内外の人たちが森林を楽しそうに散策する様子を見て『これこそウォルト・ディズニーが提唱していたレジャーの本質が体現されている場所だ』と感じました。今回発行された本は主に町内の施設などに置かれているので、住民の方々に地元の魅力に気づいてもらうきっかけになれば」と期待を寄せました。