農学部の教育研究上の目的、養成する人材像

食料の生産と確保は、人類にとって最も重要な課題である。しかしながら地球レベルでみると約3分の1の人口は、食料が不十分であり、8億以上が飢餓に瀕している。その一方で日本は飽食の時代と言われる反面、食料自給率は先進諸国の中でも低く、その多くを海外に依存しておりアンバランスな状態にある。また、食料を生産するための地球環境は、農地拡大のための自然破壊、砂漠化が多くの地域で進み、悪化している。また、二酸化炭素の排出による地球温暖化の進行は、食料生産に大きな影響を与えており、これらの諸問題に人類は対処していかなければならない。

食料の生産技術についてみると、バイオテクノロジー技術が農業分野でも応用されるようになり、有効な生産にこの技術は欠くことのできないものとなっている。また、生物の基本でもある生命現象についても分子生物学的研究が進展し、化学的に生命が解き明かされつつある。しかし、国民の食に対する意識は、その生産のみならず安全性やゆとり、健康などに向けられるようになってきており、食に対する価値観にも変化が見られる。また、生物に対する意識も変化しており、動植物と人間との関わりを究明するバイオセラピーといった分野も発展しつつある。農学部は、このような課題にこたえるため、地域と密着した伝統的な農業による食料生産ばかりでなく、新しい科学技術を取り入れ、かつ安全性や健康をも省み、グローバルな視点から持続可能な食料生産のための教育研究を行うことを方針としている。

この方針のもとに農学部は、阿蘇くじゅう国立公園の中にキャンパスを構え、自然の豊かさを守りつつ、かつ最先端の科学技術分野をも取り込み、食料生産の理論と実践を学ぶ教育研究を展開するために次の学科から構成されている。植物科学と生産の学問分野として応用植物科学科、動物科学と生産の学問分野として応用動物科学科、生命科学および食品化学の学問分野としてバイオサイエンス学科の3学科である。応用植物科学科では植物に関する幅広い知識を身につけ、安全で安定した食料の生産、環境を重視した植物生産技術、バイオテクノロジーなどの先端技術および環境保全に関する科学について学ぶ。応用動物科学科では、動物の行動や生理、体の仕組みなどを基礎とした動物の生命科学を中心に、家畜生産を取り巻く動物福祉や生態系をも考慮した家畜の生産技術、畜産物の加工技術や安全性などの科学について学ぶ。バイオサイエンス学科は、生命科学について化学を基盤とした生命のメカニズムを学び、かつ食品の安全性と人類の健康を考慮し、食品やその原料に含まれる機能性物質の科学などについて学ぶことができる。

農学部が養成しようとする人材

これらの教育内容を礎に農学部が養成しようとする人材は、東海大学の建学の精神である「愛と正義」の教育理念を踏まえ、優れた人格と見識を持ち、世界的視野にたって未知の分野を開拓してゆくための積極性と創造性に富み、リーダーシップとコミュニケーション能力のある人物である。特に農学部では食料生産および利用の理論ばかりでなく、その実学を重視し、食と生命の関係をよく理解した心豊かな人物で、「食の重要性」と「生命の尊さ」を後世に伝承出来る人物を養成することを教育目標としている。

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