教育研究上の目的・人材像

教育方針

製品固有の機能を実現するコンピュータシステムを組込みシステムとよび、組込みシステムを構成するソフトウェアは組込みソフトウェアとよばれている。この組込みシステムは自動車、医療機器、家電製品などほとんど全ての製品に搭載されており、私達の生活を快適で安全なものにしている。今日、組込みソフトウェアを搭載した製品は益々高機能化・多機能化し、組込みソフトウェアの品質向上が製品の成否を決定する状況にある。すなわち、組込みソフトウェアが高機能、小型、低コスト、省電力といった製品の競争力の直接的な原動力となる一方、組込みソフトウェアの品質が製品の安全性の面で社会的に大きな影響を与えることが考えられる。例えば、自動車の組込みシステムには高機能性、利便性、快適性が求められるが、安全性の面からエンジン制御やブレーキ制御に用いられる組込みソフトウェアは生命にも係わるので高品質でなければならない。

近年、組込みソフトウェアがもつ技術競争力を背景に、日本の産業構造は製造工程から開発工程へ大きく舵を切りつつある。その結果、各企業とも開発工程における技術者が大量に不足する事態に直面しているのが現状である。こうした状況を打破し、組込み技術による技術革新を推し進めて日本産業の発展と安全で平和な社会の創造に貢献するには、高度な倫理観を身に付けた組込みソフトウェア技術者を育成する必要があり、このような人材の育成は大学に課せられた使命である。

以上の背景から、本学科の教育方針は、幅の広い教養と高度な倫理観を身に付け、組込みソフトウェアを開発するための技術、組込みソフトウェア開発環境と開発管理に関する技術とスキルを実践的に活用できる人材を育成することである。このため本学科では、基礎学力を重視すると共に、ハードウェアとソフトウェアのバランスが取れたカリキュラムを構築し、人間的にも優れた組込みソフトウェア技術者を育成することを目指す。

教育目標

社会のインフラの安全性にまで係わる組込みソフトウェア技術者には、厳しい社会的倫理観が要求される。また、今日の国際化社会で組込みソフトウェア技術者として活躍するためには語学力も必要とされる。一方、技術的観点から見た場合、組込みソフトウェアの機能はハードウェアの特性やシステムの構成と密接に関連するため、組込みソフトウェア技術者にはソフトウェアを開発する基本技術だけでなく、物理学、電子回路、コンピュータシステムなどハードウェアに関する知識および計測、制御、通信、ヒューマンインターフェースなどに関する技術も必要とされる。さらに、組込みソフトウェアの場合にはハードウェアとのコンカレント開発を行うことが多い。したがって、組込みソフトウェア技術者にはハードウェアとソフトウェアのトレードオフと品質の関係など実践的な技術とスキルが要求される。また、近年の組込みソフトウェアは益々大規模化、高機能化しているため、その開発には多くの技術者がプロジェクトを組んで携わることになる。したがって、組込みソフトウェア開発技術者はプロジェクトの管理、製品機能の管理等の能力を身に付けなければならない。

以上のようなことから本学科では以下の教育目標に基づいて教育を行う。

  1. 1.技術者としての哲学や倫理観、技術史、技術と技能、技術と文明社会など工学の根底に流れる思想と教養を身に付けさせる。
  2. 2.国際社会で活躍できる人材を育成するため、英語での技術文書作成やプレゼンテーション能力を身に付けさせる
  3. 3.組込みシステムを理解するうえで必要不可欠な数学、物理などの基礎的知識を修得させる。
  4. 4.電気回路、コンピュータアーキテクチャなど組込みソフトウェア開発に必要なハードウェア技術を修得させる。
  5. 5.計測および制御に関する技術とスキルを身に付けさせ、機械制御の組込みソフトウェア開発技術を修得させる。
  6. 6.組込みソフトウェアの階層構造を理解し、リアルタイムOSなどのプラットフォームを設計および活用する技術を修得させる。
  7. 7.通信、ヒューマンインタフェースといった組込みソフトウェアを構成する技術要素を活用する技術を修得させる。
  8. 8.組込みソフトウェアを開発するC言語、ICE、UMLなど組込みソフトウェアの開発環境を使いこなすための技術とスキルを修得させる。
  9. 9.組込みソフトウェアを開発するプロジェクト管理の基礎技術を習得し、プロジェクトの中でコミュニケーションをとりながら組込みソフトウェア開発に従事するスキルを修得させる。

組込みソフトウェア工学科が養成しようとしている人材

本学科では幅の広い教養と高い倫理観を身に付け、物づくりを通して高度情報社会の発展に貢献できる組込みソフトウェア技術者を養成する。技術的観点から見た場合の本学科で養成目標とする人材を、経済産業省が策定した組込みスキル標準(ETSS)に基づき次のように設定する。

  • 組込みソフトウェア開発技術者
  • システムアーキテクト
  • プロジェクトマネージャー
  • ブリッジSE

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