教育研究上の目的及び養成する人材像
情報通信学部組込みソフトウェア工学科の教育研究上の目的は、大学・学部の教育目的に沿って、組込みソフトウェア開発能力を備えた人材を養成することです。組込みソフトウェアは自動車、家電製品などの機器を制御するソフトウェアであり、ハードウェアの特性やシステムの構成と密接に関連しています。その開発には、ソフトウェアに加えてハードウェアの知識が必要です。また、組込みソフトウェアは社会のインフラと関わることから、技術者には高い倫理観が求められます。その開発には大勢の人々が関わることからチームで協力してプロジェクトを成し遂げる力が必要です。従って、本学科では、組込みソフトウェア開発に関するハードウェアとソフトウェアの知識をバランス良く身につけ、人間的にも優れた組込みソフトウェア開発力を備えた人材を養成することです。
3つのポリシー
1ディプロマ・ポリシー
情報通信学部組込みソフトウェア工学科では、以下の能力を備えたと認められる者に学位「学士(工学)」を授与します。
知識・理解
組込みシステムを構成するソフトウェアおよびハードウェアの開発に関する基礎的な知識・技術力。
汎用的技能
自分の意見を持ち伝える力、社会の一員として協力して仕事を成し遂げる力、社会およびその変化に適応していく力。
態度・志向性
高い倫理観のもと組込みソフトウェアの創造を通じ、産業界の発展、安全で平和な国際社会の実現に貢献できる能力。
2カリキュラム・ポリシー
情報通信学部組込みソフトウェア工学科が定めるディプロマ・ポリシーに基づき、以下に示す教育課程を編成し、実施します。
教育課程・学修成果
組込みソフトウェア工学科では、「基幹科目群」、「ソフトウェア系科目群」、「ハードウェア系科目群」、「数理系科目群」、「総合系科目群」の5つの科目群を設けています。これらの科目群により、実践力を育成することを目指した「基幹科目群」を中心に、段階的に、ソフトウェアとハードウェアの知識をバランス良く身につけ、人間的にも優れた組込みソフトウェア開発力を備えた人材を育成できるように学修体系を構成しています。以下、育成する能力と、科目群、科目について説明します。
「組込みシステムを構成するソフトウェアおよびハードウェアの開発に関する基礎的な知識・技術力」を育成するために、「ソフトウェア系科目群」、「ハードウェア系科目群」、「数理系科目群」を配置しています。
「ソフトウェア系科目群」は、ソフトウェアの仕組みを理解し、開発するための基礎学力を育成する科目群であり、第1セメスターに「プログラミング入門」、第2セメスターに「プログラミング応用」、第3セメスターに「ゲームプログラミング・同実習」、「データ構造とアルゴリズム・同演習」、第4セメスターに「データベース」、「ソフトウェア工学1」、第5セメスターに「ソフトウェア工学2」、「コンパイラ」、「ネットワークコンピューティング」、第6セメスターに「オペレーティングシステム」、「データ工学」を実施します。また、第1〜4セメスターの科目を基礎科目、第5〜6セメスターの科目を応用科目として位置付けています。
「ハードウェア系科目群」は、ハードウェアの仕組みを理解し、開発するための基礎学力を育成する群であり、第1セメスターに「基礎電気回路」、第2セメスターに「電気回路・同演習」、第3セメスターに「論理回路・同演習」、「電子回路1」、第4セメスターに「電子回路2」、「コンピュータシステム・同演習」、第5セメスターに「パルス・デジタル回路」、「コンピュータアーキテクチャ」、第6セメスターに「ハードウェア設計」、「制御工学」を実施します。第1〜4セメスターの科目を基礎科目、第5〜6セメスターの科目を応用科目として位置付けています。
「数理系科目群」は、ソフトウェア系科目群とハードウェア系科目群を学ぶための基礎を養成する科目群であり、第1セメスターに「線形代数」、「微分積分」、第2セメスターに「確率統計」、「力学」、第3セメスターに「離散数学」、第4セメスターに「データ解析」、「デジタル信号処理1」、第5セメスター「デジタル信号処理2」を実施します。
上記の3つの科目群の力を段階的に踏まえ、各々の段階に応じて「自分の意見を持ち伝える力、社会の一員として協力して仕事を成し遂げる力、社会およびその変化に適応していく力」を育成するために、「基幹科目群」を設けています。すなわち、「基幹科目群」は、組込みソフトウェア開発する力を、総合的かつ実戦的に養成する科目群です。この科目群では、第1セメスターに「入門ゼミナール」、第2セメスターに「組込みソフトウェア工学通論」、第3セメスターに「プロジェクト基礎1」、第4セメスターに「プロジェクト基礎2」、第5セメスターに「組込み開発プロジェクト1」、第6セメスターに「組込み開発プロジェクト2」と「プレゼミナール」、第7セメスターに「卒業研究1」、第8セメスターに「卒業研究2」を実施します。
さらに「高い倫理観のもと組込みソフトウェアの創造を通じ、産業界の発展、安全で平和な国際社会の実現に貢献できる能力」を育成するために、総合系科目群を配置しています。この科目群では、第1セメスターに「科学と倫理」、第4セメスターに「組込みシステム特別講義1」、第5セメスターに「組込みシステム特別講義2」、「技術英語」、「企業研究」、第6セメスターに「信頼性と安全性」、「ビジネス基礎」を実施します。
学修成果の評価方法
組込みソフトウェア工学科のディプロマ・ポリシーに示されている「知識・理解」「汎用的技能」「態度・志向性」に関して、修得単位数・GPA による分析評価、授業についてのアンケート等を用いた学生による自己評価により、学修成果の評価を行っています。その集計結果は、FD活動等をとおして教育の質向上のためのPDCAサイクルにつなげています。
3アドミッションポリシー
求める学生像
情報通信学部組込みソフトウェア工学科の教育目標を理解し、この目標を達成するために自ら学ぶ意欲をもった人材。及び、ディプロマ・ポリシーで求められている能力を、身に付けられると期待できる基礎学力を十分有する人材。
入学者にもとめる知識・技能・思考力・判断力・表現力・態度
(1) 知識・技能
英語では、高校での英語の科目の履修を通して基礎的な英語の文章理解力、文章表現力、会話能力を身につけておくことが望ましい。
数学では、高校での数学の科目の履修を通して公式や計算方法を理解した上で、それらを利用できる能力を身につけておくことが望ましい。
理科では、高校での理科(物理、化学、生物)の科目の中から選択した科目について、その各項目の内容を理解していることが望ましい。
(2)思考力・判断力・表現力
世の中で広く利用されている様々な組込みシステム(自動車、家電、ロボット、スマートフォンなど)はどのような技術によって実現されているのか、それらを理解するためには何を学ぶべきなのかなどについて、自ら考え組込みソフトウェア工学科での学びを実践できること。加えて、理系の知識・技能と文系の知識・技能を総合して応用することで、例えば既存システムをより安全・安心なものにするには何をなすべきかといった課題解決に結びつけることが実践できること、および、それらの発信ができること。
(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
組込みシステムの開発は、要求分析・設計・実装・試験などのいくつかの過程によって行われ、各プロジェクトは多種多様な知識・技能を持つ人材により構成される。組込みソフトウェア工学科では、多くの実習科目においてPBL(Project Based-Learning)によって開発プロジェクトを実践する。これらプロジェクトでの学修を進める上で、多様な価値観を理解し、友好な人間関係を築くことができるコミュニケーションが行えること。またプロジェクトを成功裏に導くプロジェクトマネージメントを実践する上で、物事に対して挑戦的に取り組むこと、および、失敗や挫折を乗り越えて目標を実現しようとすることが求められる。