海洋生物学科の村山司教授らの研究成果が英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に掲載されました

海洋学部海洋生物学科の村山司教授らの研究チームが、イルカが物とそれを表す文字、鳴き方をセットで記憶し、物を文字で表わしたり、鳴音で指し示したりできることを明らかにしました。人間以外でこうした能力が確認されたのは初めてで、8月30日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。

村山教授は飼育されているイルカ類を対象に、感覚・知能・行動の実験的解析を実施しています。研究チームでは、鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)で飼育されているシロイルカの「ナック」(推定32歳)を研究対象としており、2014年にはイルカがヒトの言葉を真似できることを世界で初めて実証し、国際比較心理学雑誌電子版(INTERNATIONAL JOURNAL OF COMPARATIVE PSYCHOLOGY)に発表しました。

今回、研究チームはナックに潜水などで使うフィン(足ひれ)を見せると「ピィ」と鳴いたり、「⊥」の文字を選んだりするように訓練してきました。さらに、「ピィ」という音声を聞かせたり「⊥」の文字を見せたりするとフィンを選べるようになり、フィンがなくても「⊥」を見せると「ピィ」と鳴き、「ピィ」と聞かせると「⊥」を選ぶようになりました。同様に、「マスク」(鳴き方:「ピーー」/文字:「R」)や「バケツ」(鳴き方:「ヴォッ」/文字:「>」)、「長靴」(鳴き方:「ホゥ?」/文字:「O」)もそれぞれを表す鳴き方と文字を覚えています。このように、ナックは訓練していない関係も自発的に理解し、ひとつの物を視覚(文字)でも聴覚(鳴音)でも表わすことができるのは人間が言葉を覚えるのと同じ能力です。

村山教授は「これでまた一歩、イルカと人間との双方向のコミュニケーションの可能性が広がったのではないでしょうか」と話しています。

村山教授.jpg