第1回東海大学ヨーロッパ学術センター50周年記念QOLセミナーをオンラインで開催しました

東海大学では8月12日に、第1回東海大学ヨーロッパ学術センターQOL連続セミナー「デンマークにおけるコロナ禍の働き方とデジタルトランスフォーメーション(DX)」をオンラインで開催しました。本セミナーは、日本とヨーロッパ諸国との学術・文化交流の促進を目的として1970年にデンマーク・コペンハーゲンに開設したヨーロッパ学術センターの50周年を記念したものです。また、本学は日本で唯一、北欧の社会、歴史、文化、言語を研究と教育の対象とする「文化社会学部北欧学科」を有しており、50年以上北欧研究の先端を切り拓いてきました。セミナーの実施はこれまでの成果を広く社会に還元し、よりよい国際社会づくりに貢献することを目的としています。今年度中に計4回の開催を予定しており、今回はWEBビデオ会議システム「Zoom」を使い、デンマーク財務省や在日デンマーク大使館、コペンハーゲン大学、ロスキレ大学、デンマークにおける最大手IT企業のKMD社、本学教員による全6講演を実施。約180名が聴講しました。

ヨーロッパ学術センターのヤコブ・イエンセン副所長が司会進行を務めたセミナーでは、初めに本学の山田清志学長があいさつ。本学の創立者・松前重義博士がデンマーク訪問をきっかけに教育の道を歩んだ経緯やその後の本学とデンマークの交流の歴史について触れ、「ヨーロッパ学術センター開設50周年を記念した本セミナーをきっかけに両国の交流がさらに深まることを期待しています」と語りました。続いて、最先端のデジタル政府を実現しているデンマークの現状をはじめ、大学などの教育界や企業におけるIT技術導入の歴史、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応する技術の活用事例について紹介。さらに、本学が教育研究の指針として掲げる「人々の暮らしや社会のQOL(=Quality of Life)向上」を踏まえ、デジタル技術やリモート環境の整備による人々のQOL向上、日本との比較などについてそれぞれの立場から現況が語られました。

講演終了後には本センターの吉川直人所長(本学副学長)がファシリテーターを務めて「Q&Aセッション」も実施。日本とデンマーク両国政府による国民の個人情報取り扱いの違いや、EU諸国とデンマークの協力体制などについて熱心な質疑応答が繰り広げられました。閉会にあたって再び山田学長が登壇し、「コロナ禍によって大学の講義がオンラインを用いた遠隔授業になるなど、教育の現場でもDXの活用が求められています。今回のような議論を経て、新型コロナ収束後にはよりよい社会が実現していることを願っています」と今後に期待を寄せました。

講演者と演題は下記の通りです。

「デンマークのQOLと公共機関におけるDXの現状」 デンマーク財務省デジタル化庁 カレン・イエルスボ・アイバーセン氏
「コペンハーゲン大学でのコロナ禍におけるDXと大学生活」 コペンハーゲン大学人文科学部 国際コーディネーター アンドレア・シェニナ・リュー氏
「デンマークにおけるユーザー中心のDXと教育分野への応用」 ロスキレ大学People and Technology学部 准教授 安岡美佳氏
「日本のDXの遅れ~デンマークとの協力~」 政治経済学部経営学科 亀岡京子教授
「一般企業におけるQOLとコロナ禍のDXの取り組み」 KMD社 最高技術責任者 ハンス・ジャヤティッサ氏
「コロナ禍でのデンマーク外務省のワークライフバランス」 駐日デンマーク大使館参事官(次席) ヨナタン・ベンヤミン・クヌセン氏
「Q&Aセッション」 ファシリテーター=東海大学副学長・東海大学ヨーロッパ学術センター所長 吉川直人教授