総合科学技術研究所が「飛翔体の流れに関する研究報告会」をオンラインで開催しました

総合科学技術研究所では3月2日にオンラインで、「飛翔体の流れに関する研究報告会」を開催しました。本研究所では5つの研究グループを擁し、学部を横断する他分野による融合研究を推進しています。今回はそのうちの一つである「飛翔体の流れ」に関するグループが、これまでの研究成果や産官学連携の展望などを紹介しました。

開会にあたり稲津敏行副学長(理系担当)が、「研究は領域ごとに区切れるものではなく、融合が重要な世界です。学部学科をこえた研究所における活動がより重要であり、今後いっそう期待されると思います。本学では14の研究所を設けており、研究所が主体となって研究を行える環境整備を進めています。総科研でもより活発な研究活動が展開されることを期待します」とあいさつしました。

初めに、工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の水書稔治教授が、「回転デトネーションエンジン内部での爆轟波伝潘の干渉計計測」と題して講演。エンジン内部で超音波の衝撃波(デストネーション波)を発生させて推力を得る回転デストネーションエンジンは、従来のジェットエンジンよりも小型化や高効率化が期待されていることから、実用化に向けた実験・研究の成果などを報告しました。続いて、工学部機械工学科の山田剛治准教授と動力機械工学科の髙橋俊准教授のグループが「極超音速飛翔体の空力加熱現象の高精度評価に向けた研究」をテーマに発表し、宇宙への物資輸送における安全性やコスト面の課題を解決する極超音速飛行を提案。実現に向けた課題や、空力加熱試験などを通じた研究の進捗状況について話しました。

後半には、工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の教員4名が発表。沼田大樹講師は「飛翔体表面の流体場の解明を目指した複合感圧塗料の開発」と題し、周囲の圧力に応じて発光強度が変化する「感圧塗料」を用いた圧力計測の研究例を紹介しました。流体シミュレーションの研究開発と工学的な応用について研究する福田紘大准教授は、「ラグランジュ型乱流解析手法の開発」をテーマに講演。従来の手法との比較や、空間解像度を解析前に定量的に規定できるメリットなどを説明しました。続いて、自然界の生物が持つ特徴を人工物に応用する研究を専門とする稲田喜信教授が「スナメリの体表面に見られる小突起の流体力学的効果について」と題して発表し、ネズミイルカ科のスナメリの形状を参考にした流体模型の突入実験の成果を報告しました。最後に、堀澤秀之教授が「超音速自由噴流のプラズマジェットによる加速」をテーマに発表。プラズマジェットを噴流加速に活用することを目的とした試験方法とその成果、今後の課題などを説明しました。各講演者の発表後は質疑応答が行われ、参加者同士が活発に意見を交わしました。

閉会にあたり長幸平研究推進部長(情報理工学部教授)が、「今回の報告会を受けて、総合科学技術研究所の中に優れた研究グループが形成されつつあると感じました。こうした研究活動が東海大の力となっていくように、今後ますますの発展に期待しています」と語りました。