大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の内田真緒さん(指導教員=工学部原子力工学科・堺公明教授)がまとめた論文がこのほど、日本機械学会が発行する英文ジャーナル『Mechanical Engineering Journal』に掲載されました。
今回の論文は、「ナトリウム冷却高速炉の自由液面からのガス巻き込み現象分析」についてまとめたもの。ナトリウム冷却高速炉は、炉内の冷却に水ではなく沸点の高いナトリウムを使用することで、より経済性や安全性を高めた原子炉です。しかし、ナトリウムの液面が乱れると炉内に入れられたガスを巻き込み、気泡ができることがあります。その気泡が炉心を通過すると、原子炉の出力に影響を及ぼす場合があるため、ガス巻き込み現象発生の抑制や設計評価手法の構築が国際的にも求められています。そこで内田さんらは、研究室にある回流水槽を用いて現象の計測や評価手法の解析を実施し、その成果を英文でまとめました。
内田さんは「オープンキャンパスで原子力工学に興味を持ちました」と入学当時を振り返ります。本研究については、原子力工学科3年次生の夏から開始し、昨年度の国際会議で発表するとともに、ジャーナル投稿にチャレンジしました。「今回の論文はこれまでの研究成果をまとめたので、世界中の多くの研究者に読んでいただく機会ができたことをとてもうれしく思います。解析データや実験データなどは先輩方から引き継いだものも多く、関係する方々にあらためて感謝しています」と笑顔で語っています。