医学部付属病院が「肝疾患医療センター市民公開講座―肝がん撲滅運動―」を開催しました

医学部付属病院では7月29日に伊勢原キャンパスで、「肝疾患医療センター市民公開講座―肝がん撲滅運動―」(共催:一般社団法人日本肝臓学会)を開催しました。本病院は肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、肝疾患医療センターは肝炎対策の遂行機関として診療ネットワークの整備や診療にかかわる人材の育成、相談支援などに取り組んでいます。公開講座は、地域の人々に肝臓病の治療や予防に関する最新情報を提供するために実施しているものです。当日は、本病院の医師ら6名が講演。患者や近隣住民、保健医療福祉関係者ら約90名が参加しました。

初めに、総合司会を務めた加川建弘センター長(医学部医学科教授)が講座の趣旨を説明。続いて、伊勢原市保健福祉部健康づくり担当部長の高橋健一氏が、「最先端の高度医療を提供する医学部付属病院の先生方から肝疾患について学べる貴重な機会です。ぜひ自分や家族の健康の維持・増進に役立ててください」とあいさつしました。

第一部では加川センター長をはじめ消化器内科の医師3名が、「ウイルス性肝炎」「脂肪肝・脂肪肝炎」「肝がん」の原因や病態、診断・治療法について解説。食事や飲酒量のコントロール、適度な運動といった生活習慣の見直しの重要性を指摘しました。また加川センター長は、肝疾患の早期発見・早期治療を目指す取り組みとして、第59回日本肝臓学会において採択された「奈良宣言2023」についても紹介し、採血や腹部超音波検査といった検診の大切さを訴えました。第二部では、本病院の薬剤師が肝臓の働きを助ける薬と服薬に当たっての注意点を、管理栄養士が脂肪肝に対する食糧療法や運動療法について説明。神奈川県がん・疾病対策課の職員は、肝疾患の医療費助成制度について紹介しました。各講演について、参加者から多くの質問が寄せられました。

最後に、一般社団法人秦野伊勢原医師会長の秋澤孝則氏があいさつに立ち、参加者、関係者への謝辞を述べました。加川センター長は、「まだ多くの患者さんが肝疾患に苦しんでいますが、近年は新しい薬が開発され、これまでは難しかった病気のコントロールが可能になりつつあります。今後も地域の医療従事者の皆さんと連携し、患者さんに役立つ情報や治療を提供していきます」と結び、盛会のうちに終了しました。

なお、講演者等は以下のとおりです。
【総合司会】
加川建弘教授(肝疾患医療センター長、医学部医学科内科学系消化器内科学領域)

【講演】
1「ウイルス性肝炎」
  加川建弘教授
2「脂肪肝・脂肪肝炎」
  荒瀬吉考講師(医学部医学科内科学系消化器内科学領域)
3「肝がんの診断と治療」
  鶴谷康太講師(医学部医学科内科学系消化器内科学領域)
4「慢性肝疾患でよく使うくすり」
  進藤悠果薬剤師(医学部付属病院薬剤部薬剤科)
5「肝臓にやさしい食事~脂肪肝について~」
  安積正芳栄養士(医学部付属病院診療技術部栄養科)
6「肝疾患の医療費助成について」
  鈴木信之氏(神奈川県健康医療局保健医療部がん・疾病対策課)

【後援】
神奈川県、伊勢原市、足柄上医師会、小田原医師会、茅ケ崎医師会、中郡医師会、秦野伊勢原医師会、平塚市医師会