医学部付属病院が「脳卒中・心臓病の市民公開講座」を初めて開催しました

医学部付属病院では1月20日に伊勢原キャンパスで、「脳卒中・心臓病の市民公開講座」を初めて開催しました。本病院の脳卒中・心臓病等総合支援センターが、脳や心臓の血管にかかわる循環器病の動向や最新の予防・治療法に関する情報を市民の方々に提供するため、厚生労働省「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」として神奈川県と連携して実施したものです。脳卒中や心臓疾患を専門とする6名の医師が講演。オンラインも併用し、約200名が参加しました。

初めに本病院の渡辺雅彦病院長が、「脳卒中と心臓疾患治療のトップリーダーの先生方に講演していただきます。循環器病に関する理解を深めるとともに健康増進に役立ててください」とあいさつ。続いて、神奈川県保健医療局保健医療部がん・疾病対策課長の下山田義行氏が、「循環器病に関する正しい知識の普及は重要な課題となっています。本日は有意義な機会を設けていただき感謝します」と述べました。

「心臓病」をテーマとした第一部では4名の医師が、「心不全」「心筋梗塞」「外科治療」「心臓リハビリテーション」について講演しました。まず、北里大学の阿古潤哉氏が、心臓の機能が低下してむくみや息切れといった症状が起こる心不全の原因や、薬剤による治療、運動療法について説明。続いて本センターの伊苅裕二教授が、心筋梗塞の特徴的な症状である突然の激しい胸痛におそわれた場合の救急搬送の重要性、心筋梗塞の有効な治療法の一つであるカテーテル治療(血管にカテーテルと呼ばれる管を通し、狭まった心臓の冠動脈を広げる治療)を紹介しました。川崎幸病院の高梨秀一郎氏は、冠動脈の狭まった部分をまたぐように別の血管をつなげて迂回路(バイパス)をつくる外科治療について解説。聖マリアンナ医科大学の明石嘉浩氏は、心臓疾患による入院で低下した心身の機能を回復させる心臓リハビリテーションの概要を説明しました。

「脳卒中」がテーマの第二部では、新百合ヶ丘総合病院の長谷川泰弘氏が、脳の血管が詰まったり破れたりして起こる脳卒中の特徴的な症状や、それらを見逃さずに速やかに受診する大切さ、予防のために日常生活で留意すべき点を紹介。昭和大学の寺田友昭氏は、脳出血、クモ膜下出血の原因や血管内治療について解説しました。各講演後には、演者が会場からの質問に丁寧に回答しました。

最後に、本センターを代表して伊苅裕二教授が講演者と参加者への謝辞を述べ、「本センターでは関連する診療科と多職種の連携により、患者さんやご家族への相談窓口も設けています。今後も神奈川県と協力し、情報提供や相談支援を展開していきます」と結びました。

※当日のプログラムは下記のとおりです。
【開会あいさつ】
東海大学医学部付属病院 渡辺雅彦病院長

【第一部 心臓病】
座 長:伊苅裕二教授(東海大学医学部付属病院循環器内科診療科長)
    吉岡公一郎教授(同副院長、循環器内科)
講演①「心不全」
    阿古潤哉氏(北里大学病院循環器内科教授)
講演②「心筋梗塞」
    伊苅裕二教授
講演③「外科治療」
    高梨秀一郎氏(川崎幸病院心臓血管外科部長)
講演④「心臓リハビリテーション」
    明石嘉浩氏(聖マリアンナ医科大学病院循環器内科教授)

【第二部 脳卒中】
座 長:反町隆俊教授(東海大学医学部付属病院脳神経外科)
    永田栄一郎教授(同脳神経内科)
講演①「身につけたい!『脳卒中にならない、なっても助かる方法とは』」
    長谷川泰弘氏(新百合ケ丘総合病院脳卒中センター長、
           聖マリアンナ医科大学病院脳神経内科特任教授) 
講演②「脳出血 クモ膜下出血 血管内治療」
    寺田友昭氏(昭和大学横浜市北部病院脳血管センター長、特任教授)

【閉会あいさつ】
東海大学医学部付属病院 伊苅裕二教授