動力機械工学科の長谷川准教授が「先端的低酸素化技術開発事業」の実用技術化ステージゲートに採択されました

工学部動力機械工学科の長谷川真也准教授の研究課題「カルノー効率60%に達する廃熱回生熱音響システム」がこのほど、科学技術振興機構(JST)の実施する「先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)」のステージゲートを通過し、平成28年度実用技術化プロジェクトの「新規材料および新機構による熱利用技術」に発展的に採択されました。長谷川准教授は2013年度からALCAの「技術領域における平成25年度新規採択研究課題」に採択され、先進的に研究を進めてきました。このプロジェクトは、これまでALCAの採択を受けてきた研究課題の中から、研究成果が顕著であり、企業などとの連携による実用化が期待され、低炭素社会の実現に大きく貢献できると判断された研究課題が選ばれたものです。

長谷川准教授はこれまで、独自に理論を解明した熱音響機関を用いて工場などから排出される廃熱を冷却や発電のエネルギーに変換する技術の開発に取り組んできました。熱音響機関は、特殊なメッシュ状のデバイスの前後に温度差を持たせることで巨大な音波を発生させ、それをエネルギー源として用いることのできる技術です。デバイスのメンテナンスが不要で、さらに機構が単純なことから低コストでかつ高効率な次世代型エネルギーデバイスとして高い注目を集めています。これまでALCA等の成果を元に複数の企業や研究機関と連携して取り組んできた研究により、当初5年間での実現を目指してきたデバイスの高効率化を3年で実現。船舶の冷却機関として利用する実証実験が始まるなどの成果を収めています。長谷川准教授は、「地球温暖化対策としてさらなる省エネルギー社会の実現が求められる中、廃熱などとして捨てられてきたエネルギーを再利用する回生技術への期待は年々高まっています。今後も学内外の研究者や企業と連携しながら、熱音響機関の基礎である物理現象の解明を進めつつ、さらなる応用の可能性を探っていきたい。一日も早く、東海大学発の高効率エネルギー回生デバイスを実現し、成果を社会に還元できれば」と話しています。

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