歴史学科西洋史専攻で世界遺産のレプリカ(複製模型)を使ったゼミナールを開いています

文学部歴史学科西洋史専攻の金原研究室では、3年次生対象のゼミナールの一環で、東欧バルカン地方にある世界遺産のレプリカ(複製模型)を使った授業を行っています。本専攻の金原保夫教授が、世界遺産の素晴らしさや歴史的価値を実感しながらより具体的なイメージを持って歴史を学んでもらおうと10年ほど前から取り組んでいます。これまでにトルコ・イスタンブルにあるハギア・ソフィア大聖堂やブルガリアに所在するトラキアの古墳の石室などを作成し、展示会も3回開催しました。今年度はこれらのレプリカの細部を作りこみながら、新たにバルカン地方の枠を超えてロシア・モスクワにある聖ヴァシリー教会の作成も進めています。

学生たちは、東海大学付属図書館にある資料や図録などをもとに図面を起こし、内部の構造を確認しながらパーツを製作。金原教授から建築物の歴史的な背景や特徴について解説を受けながら総合的に学んでいます。1月20日の授業では、これまでに作ってきた世界遺産のレプリカを並べ、金原教授がハギア・ソフィア大聖堂と聖ヴァシリー教会を事例にあげながら東方正教会の歴史や建造物に込めた時の権力者の思い、建築的な特徴を説明しました。また、トラキアの古墳では、石室の上部に開けられた穴から冬至の日の太陽光が内部に差し込み、最奥部に描かれた墓主の騎馬像を照射するよう工夫されている様子を、実際にレプリカをライトで照らしながら観察しました。

学生たちは、「実際にレプリカを作ることでそれぞれの遺跡についての理解が深まると感じています。もちろん現地に行って実物を見ることが大切ですが、その前にイメージをつかめるのがいいと思います」「実物では触れない場所にも触れることができるし、中に描かれている絵画の場所などを確認することで、それぞれの持つ役割が明確になる。レプリカに触れて形を実感できるのはとても良い体験だと思います」と話しています。

金原教授は、「建物の歴史的な意味や構造は、文献だけではイメージしにくい部分もあり、その意味でもレプリカ作りは意義のある活動だと思っています。学生たちも製作を通じて世界遺産との対話を楽しんでいるようです。近年では、精巧なレプリカを使った実験で歴史的な事実の解明を目指す実験歴史学という分野も盛んになっており、教材や展示用資料としてだけでなく、そうした研究の資料としても活用されています」と話しています。

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