海洋学部の李准教授らによる共編著が日本沿岸域学会の「出版・文化賞」を受賞しました

海洋学部環境社会学科の李銀姫准教授と一般財団法人漁港漁場漁村総合研究所上級研究員の浪川珠乃氏による共編著『In the Era of Big Change : Essays About Japanese Small-Scale Fisheries』(発行:TBTI Global)がこのほど、日本沿岸域学会の「出版・文化賞」を受賞しました。同学会は、1988年1月に「日本沿岸域会議」として設立され、95年5月に現在の名称に改称。沿岸域にかかわるあらゆる問題を総合的に議論できる自然科学、社会科学、人文科学の各分野が融合した学際的な学会です。出版・文化賞受賞は7月27日に発表され、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンラインで授賞式が開催されました。

李准教授らは国内の研究者と連携し、2020年7月に世界規模のグローバル・パートナーシッププロジェクト「TBTI(Too Big To Ignore:無視するには大きすぎる)」日本支部を設立。本書は同団体の設立と合わせて、出版したもので、約50名の執筆者が産業構造や地球規模での海洋の変化、制度・政策の変化といった大きな変化の時代に生きる日本の家族経営を中心とした小規模漁業の持続可能性に焦点を当て、その役割と意義について考察しています。日本の小規模漁業を体系的に捉えた初めての研究成果であり、企業的漁業や大規模漁業に比べて国際的な認知度が低い日本の小規模漁業を国際社会に向けて紹介していることが評価されました。

李准教授は、「熱意を持って研究を続けてきたことが認められ、非常に光栄に思います。今回の受賞は日本の小規模漁業の役割と意義を再確認するとともに、国際社会に向けて発信しようという趣旨に賛同してくださった多くの執筆者の協力があったからこそだと実感しています。小さなステップかもしれませんが、研究が着実に進んでいる大きな証であると考えています。今後もこの分野の研究に精進していきます」と話しています。