地域創造学科の学生が視覚障がい当事者と協力して、視覚を用いないでスポーツを「みる」方法の開発に挑戦しています

国際文化学部地域創造学科の選択科目「地域創造フィールドワークC」(担当教員:国際文化学部 地域創造学科 植田俊講師)を受講する11名の学生が、視覚に障がいがあってもスポーツ観戦を楽しめる“合理的配慮とは何か”を探求する授業に臨んでいます。この科目はスポーツイベントやスポーツクラブのマネジメントを、学外での実践活動を通じて学ぶもの。毎年テーマを決めて、サービスやボランティアを受ける側の観点から、ホスピタリティを深く考えていく授業を展開しています。今年度は視覚に障がいのある方の立場に立ったスポーツ観戦の楽しみ方をテーマに設定。授業の中で議論を重ね、8月23日(水)にエスコンフィールドHOKKAIDOで開催される北海道日本ハムファイターズの公式戦で本学が実施する「東海大学DAY~Once in a blue moon night~」※を視覚障がい者の皆さんとともに観戦し、授業のなかで考案したどちらも楽しめるアイデアを現場で実践します。

本授業では6月30日と7月7日、14日に、視覚に障がいのある一般の方をお招きして普段の生活を送る上での困りごとやこれまでの楽しかった体験などについて講話を聞ききました。また、7月2日と23日には観戦会場となるエスコンフィールドHOKKAIDOを視察し、試合がある日とない日の現地の様子を確認しています。視覚障がい者の方による講話では、北広島市を拠点に活動する視覚障がい者団体「めねっと北広島」(2019年設立)の会員である杉本勝久さんと大場日出男さんらが講演。視覚障がいの概要をはじめ、先天全盲や中途弱視(視野狭窄と低視力)の障がいがある人たちが普段どのように暮らしているか、非日常的な場所での活動の際にどのようなサポートが必要になるかといった内容についてお話をうかがいました。学生たちは、「視覚障がいについて、知っているようで知らなかったことを知ることができました。例えば、横断歩道で鳴っている誘導音は東西と南北で音が違うということや、駅の改札口付近でも改札や階段の位置を知らせるため音があることを知りました。今回学んだことを8/23の東海大学DAYでも活かしていきたいです」と感想を語っていました。

写真提供:国際文化学部 デザイン文化学科3年次生 有坂 優希

今後は、8月4日(金)にレクチャーと見学のまとめとして、植田講師が障がい者への「合理的配慮」について講義を実施。現地見学の報告や課題点について、撮影した写真や収集した資料等をもとに参加者全員で話し合い、23日の視覚障がい者の方と試合観戦につなげていきます。植田講師は、「2019年度から視覚障がい者のスポーツ実践に関する研究を展開しており、ブラインドマラソンのガイドランナーや視覚障がい者と健常者がともに自転車をこぐタンデム自転車に関する取り組みを実践してきました。また、23年度はヤマハ発動機スポーツ財団からの助成を受け、野球のほかにも視覚障がい者の方たちとバレーボールやスキージャンプ競技を観戦する研究にも取り組んでいます。今回の授業もこの活動の一環として実施するものです。学生は授業の中で、プロ野球のラジオ中継などでも伝わりにくい“投手と打者の駆け引き”や“試合の流れを読む”といった野球観戦の醍醐味をどのように言葉で伝えられるか試行錯誤を繰り返し、案内のプランを立てています。これらの活動を通じて悩み、考える中で視覚障がい者への理解を深めてもらい、自らの成長への糧にしてもらいたい」と話しています。

8月23日の北海道日本ハムファイターズ対東北楽天ゴールデンイーグルスの試合について
北海道日本ハムファイターズの事業運営会社である株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメントの協力を得て、試合当日は「東海大学DAY~Once in a blue moon night~」として、球場内でさまざまなイベントを開催します。本学湘南キャンパスの体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科の学生たちが企画し運営に携わるもの。また札幌キャンパス周辺の小学生を招待する「プレイボールキッズ」などの企画も計画しています。

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