第3回東海大学ヨーロッパ学術センター50周年記念QOLセミナーをオンラインで開催しました

東海大学では12月10日に、第3回東海大学ヨーロッパ学術センターQOLセミナー(共催:東海大学総合科学技術研究所)「持続可能な社会の実現に向けた脱炭素エネルギーシステム:QOLの向上」をオンラインで開催しました。本セミナーは、日本とヨーロッパ諸国との学術・文化交流の促進を目的として1970年にデンマーク・コペンハーゲンに開設したヨーロッパ学術センターの50周年を記念したものです。また、本学は日本で唯一、北欧の社会、歴史、文化、言語を研究と教育の対象とする「文化社会学部北欧学科」を有しており、50年以上北欧研究の先端を切り拓いてきました。セミナーの実施はこれまでの成果を広く社会に還元し、よりよい国際社会づくりに貢献することを目的としています。第3回となった今回はWEBビデオ会議システム「Zoom」を使い、川崎重工株式会社の角田俊也氏(技術開発本部研究員)や本学の源馬龍太講師(工学部材料科学科)、デンマーク工科大学のマリエ・ムンスター教授(経営工学科)、ピーター・ヴァン・ヘンドリクセン教授(エネルギー変換・貯蔵学科)、駐日デンマーク大使館のスーネ・ストローム氏(公使参事官)、Energinet社CEOのピーター・マークセン氏が講演。約70名が聴講しました。

講演では、ムンスター教授とストローム氏が、EUとデンマークで進められている脱炭素社会実現に向けた方針や取り組みについて解説。ヨーロッパ諸国の中でもデンマークは脱炭素化が進んでいる現状や風力と太陽光発電を活用してアンモニアをつくる技術などの開発とエネルギー生産・供給網の効率化による省エネを組み合わせた取り組みを紹介し、「今後はヒートポンプや人々の移動手段を電化することでさらに強力に推進する方針である」と語りました。続いて、角田氏が日本・オーストラリア両政府の支援を受けて進めている水素生産・活用に関する研究を紹介。源馬講師とマークセン氏はそれぞれ、水素吸蔵合金を使って二酸化炭素をメタンに変換する技術に関する研究と、風力発電施設で作った電力を水素に変換してパイプラインでつなぐ構想について語りました。また、ヘンドリクセン教授は水の電気分解反応から水素を製造する技術(システム)とその現状と課題について説明しました。各講演の終了後には、技術の可能性や政策実現に向けた方策などについて活発な議論も展開されました。