情報通信学部

山崎 悟史

つながりやすく途切れない
情報通信を実現する

研究概要

 近年、スマフォ、タブレット端末など様々な通信デバイスや、YouTube、LINEなどネットワークアプリケーションが数多く存在しています。現在、コロナ禍を経て様々なタスクのリモート化が加速しています。これらの背景から、社会的に年率1.5~2倍程度のモバイルデータのトラフィック増加が報告されており、無線通信資源の枯渇が懸念されています。この課題に対して、下図に示すCPS(Cyber Physical System)アーキテクチャの概念に基づいて、次の4つの視点で研究を進めています。

視点1:課題の“克服”

 限られた無線リソースの利用効率を高め、エネルギー消費を究極的に低減可能とする無線通信方式、IoT(Internet of things)ネットワークの手法・方式を提案します。具体的には無線通信ネットワークにおける主要な性能(通信容量、通信カバレッジ、エネルギ消費)に存在するトレードオフに着目し、数理モデルに基づくダイナミクス解析や、通信プロトコルの設計を進めています。

視点2:課題の“活用”

 無線通信ネットワークで生成される(または実際に取得した)データの統計的解析・学習に基づいて、新たな価値を創出します。地域就農者の果樹ハウスにIoTネットワークを構築し、それから取得した環境データに対して、提案する栽培モデルとノンパラメトリックな回帰を駆使して高精度な収穫量予測手法を確立しました。

視点3:AI・機械学習を活用したIoT、無線通信ネットワークの知的化

  視点2で述べたように、IoTネットワークから収集されたデータに対してAI・機械学習を適用し新たな知識獲得を目指しています。さらに、AI・機械学習を活用して無線通信、ネットワークの知的化(更なる高度化、高機能化)を目指します。実際、5G以降の無線ネットワークにおいてもこの点が議論されております。

視点4:IoT、無線通信ネットワークのセキュア化

 電磁波を用いた開空間においてデータの授受が行われる無線通信では、(有線通信と比べて)盗聴、傍受の危険性が懸念されます。そこで無線通信の高信頼化、高セキュア化を担保する手法を検討しています。

 具体的に視点3、4の両方を満たす技術として、よりセキュアな学習を可能とする連合機械学習に着目し、その無線ネットワーク応用の検討を進めています。さらに、連合機械学習はエッジコンピューティングと親和性が高く、(下図に示すクラウドAIを前提とした)CPS概念を、エッジAIを考慮した形に拡張し、方式提案やシステム実装を検討しています。