政治経済学部経営学科のアルマズヤッド・オスマン講師が3月17日に、一般財団法人JCCP国際石油・ガス協力機関が開いた湾岸諸国向け研修コースのオンライン講義で講師を務めました。同機関は、産油国と日本との石油ダウンストリーム部門における技術協力や人的交流を通じて友好関係を増進し、我が国における石油の安定供給確保に貢献することを目的として、1981年11月に設立された非営利団体です。今回は、オスマン講師の研究や論文に関心を持った関係者から「サウジアラビア人の目線で日本の発展要因や背景などを語ってほしい」と依頼があり、アラブ首長国連邦のアブダビ国営石油会社(ADNOC)の社員やJCCP職員らが参加しました。
オスマン講師は「日本はいかにして発展したのか。-歴史・文化・教育・持続可能性に着目して-」をテーマに講演。江戸時代の時代背景や明治維新が起きた社会的背景のほか、寺子屋や私塾、藩校といった日本独自の教育システムを紹介しながら、文化形成における教育とアイデンティティの重要性について解説。加えて、日本には老舗企業が多い理由について触れ、「100年続いている企業が1万社あり、世界のどこよりも圧倒的に多い。文化を大切にし、伝統と革新を融合するのが日本の企業です。三井高利が創業した呉服の越後屋は、それまで主流だった顧客の屋敷を訪ねて商品を売る『屋敷売り』から『店前売り』や『正札現金掛値なし』に商売の形を変えました。こうした革新は、先進国のどこよりも日本が先駆けていました。時代背景や周囲の状況に合わせてイノベーションを起こし、継続していくのが日本的経営の特徴の一つだと考えます」と語りました。
参加者からは、「興味深く、面白い講演を聞くことができました」といった声が聞かれ、オスマン講師は、「湾岸諸国では、日本がロールモデルのような国として尊敬されていますが、テクノロジーというイメージはあっても、江戸時代前から続く日本独自の教育システムと江戸時代に行われていた会読(読書会)が明治維新を先取りしていたことなど、過去に形成された文化や発展した思想はほとんど知られていません。こうした日本型発展モデルのよさをさらに広く伝えていきたい」と話しています。