教育研究上の目的・人材像

日本の食料自給率は,現在カロリーベースで40%以下である。この数字は、日本を含めて30カ国の先進諸国が加盟しているOECD(経済協力開発機構)の中でも最下位であり、恒常的に飢餓に見舞われているアフリカ諸国並だと言われている。言い換えれば,自分たちの命を支える多くの食料を他国にゆだねているといっても過言ではない。また、46億年前に誕生した地球では、20世紀のほんの100年の間で環境破壊、砂漠化、地球温暖化など様々な問題が生じ、また化石エネルギーは枯渇の危機に瀕している。このような世界情勢の中で、安全で安定した食料の確保、環境保全に関する諸問題の解決は、21世紀における大きな課題である。

応用植物科学科では、教育分野として「作物・育種学に関する学問領域」、「遺伝資源・環境に関する学問領域」、「果樹・野菜・花卉などの園芸学に関する学問領域」、「応用昆虫学に関する学問領域」を設けている。1・2セメスターの重要な導入科目である「農学概論」は、農学部のほぼ全教員がオムニバス形式で担当し、各自の専門分野を平易に解説している。またその他の導入科目は、教授、准教授および講師が、基本的な事象から先端のトピックスまで、有機的に結びつくような講義を展開している。3・4セメスターの専門基幹科目は、当該分野で十分な教育研究実績を持つ教授が主に担当している。専門基礎実験としての「応用植物学実験」は、学科全員の教員が担当し、各専門分野に関する基礎実験を指導している。また、「農場実習」も学科全教員が担当し、各種作物・果樹・野菜・花の栽培方法を体得すると共に、各個人に与えられた畑・水田を自主的に管理するプロジェクト学習を行っている。5・6セメスターの専門展開科目は、准教授・講師が、最先端の情報を交えながら講義する体制となっている。また、「応用植物学特別実験・実習」は、学生が専攻した各研究室の教員が担当し、卒業研究の基礎となる実験・実習を行う。最終年次の7・8セメスターでは、専攻した研究室で、担当教員の指導のもとで研究テーマを選定し、大学生活最後の学問的結晶というべき卒業論文をまとめる。

応用植物科学科が養成しようとする人材

応用植物科学科が養成しようとする人材は、以下の3点に大別した内容をよく理解し、応用できる人材である。第一に、従来の生産力向上一辺倒の栽培技術管理方式でなく、環境を重視した有機農業、環境保全型農業に代表される新しい植物生産技術を学び、天敵昆虫などの有用生物を活用した防除技術に関する知識を習得した人材である。また第二に、地球規模での食料危機に対応するために、バイオテクノロジーを利用した品種改良やDNA分析などの先端技術の理論を理解すると共に、未利用植物資源の探索、保存、開発、改良に関する知識を習得した人材である。第三に、森林や草原などの緑地の果たす役割や、植物の持つ多様な価値を明らかにすることで、いかに人間の生活環境の向上に役立たせるかを学び、さらに地球規模で進む砂漠化をいかに防ぐかなど、人類や生物の生存に適した環境をどのように守っていくかを習得した人材である。

このように応用植物科学科では、講義で知識を得るだけでなく、実験・実習を通じて、直接植物に触れ、また阿蘇の大自然に接することによって体験型の教育を行い、理論だけでなく創造性豊かな人材を養成することを教育目標としている。

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