大学院工学研究科2年次生の亀田さんと次田さんが、KISTEC Innovation Hub 2018 in ebinaでポスター賞を受賞しました

大学院工学研究科電気電子工学専攻2年次生の亀田晃正さんと1年次生の次田将大さん(指導教員=光・画像工学科 前田秀一教授)が、「KISTEC Innovation Hub 2018 in ebina(神奈川県ものづくり技術交流会)」(主催=神奈川県立産業技術総合研究所)でポスター賞を受賞しました。同交流会は、研究、技術開発の成果発表や支援事例の紹介を通して、産学公の交流と連携を促すことを目的に毎年行われているもので、昨年は10月に開催されました。ポスター賞は、交流会参加者の中から若手研究者による優れた発表に贈られており、亀田さんと次田さんをはじめ4名が選出されました。

亀田さんは、「銀鏡スプレー法及びトナーマスク法を用いた電子ペーパー用フレキシブル基板」のテーマで発表しました。この研究は、銀鏡反応を使って新たな基板加工技術の開発を目指すものです。通常、基板上に銀を用いて電極を形成する場合、真空蒸着法が用いられています。しかしこの手法では、大量生産が難しく、熱に弱い材質を基盤に用いられないという限界がありました。そこで亀田さんは、銀イオンと還元液を混ぜたものをスプレーガンで噴射する銀鏡スプレー法とトナーマスク法を使って銀層を形成する技術を開発。紙などの熱に弱い素材や曲面上にも形成できることを明らかにしました。

一方の次田さんは、「ポリピロール-ITO導電性インクの合成と分析と応用」のテーマで発表。有機素材であるポリピロールを使ってナノサイズの電導性インクを開発した成果を発表しました。これまで広く用いられている導電性インクの多くは材料の一部に金属由来の成分が用いられており、生体適合性が低く、環境負荷が高いという課題がありました。この研究では、生体適合性もあるポリピロールを使って導電性インクを作ることで、体内に入れて用いるカテーテルやペースメーカーなどに応用することを目指しています。

亀田さんは、「技術交流会の会場では、プロの研究者からもアドバイスをもらうことができ、とても勉強になりました。ただ、学会での受賞は初めてのことで、まさか選ばれるとも思っていなかったのでとても驚いています。私の研究では、自分で機械を使って製作する過程自体が楽しく、実際うまく作動した時には心から楽しさを実感しています。銀鏡反応はまだ世の中に応用例が少ないため、私自身が切り拓いていけることも魅力だと感じています。将来は、これまで続けてきた研究を生かせるような仕事に就きたいと考えています」とコメント。次田さんは、「研究は思い通りにならないことばかりですが、どんな結果であれ、それ自体が次への一歩になると思うといつもワクワクしています。そう感じているのも、『この先生でよかった』と思える前田先生との出会いがあったから。学生と一緒に新しい分野に挑み、解決方法を考えてくれる前田先生に出会えたことが、今の私自身につながっていると感じています。将来はここで得たスキルをもとに、自分で切り拓いた研究の成果で給与がもらえるような仕事に就きたいと考えています」と語りました。

ものづくり技術交流会_525.jpg