「2016年度医学部研究成果報告会」を開催しました

医学部では4月25日に伊勢原キャンパスで、「2016年度医学部研究成果報告会」を開催しました。本報告会は、医学部内の研究費助成制度の採択を受けた研究について、1年間の成果を発表するものです。当日は、本学部の教職員や大学院生をはじめ、学術交流を行っている武蔵野大学薬学部薬学科の大塚誠教授と照喜名孝之特別研究員ら学内外の研究者約80名が出席しました。

はじめに、本学部の坂部貢学部長が登壇。「研究力のボトムアップは大学全体の命題となっており、本報告会はそれを具現化するものと認識しています。ぜひ活発に意見を交換し、各研究をさらなる発展につなげる有意義な会にしてください」とあいさつしました。

前半は、医学とその関連諸領域における研究レベルの向上に寄与すると認められる優れた研究を重点的に支援する「医学部研究助成金(重点的研究)」を受けた7件と、過去に本助成を受けた重点的研究のうち、審査の結果、さらなる成果が期待される研究に対して助成する「医学研究基金」を受けた1件について各研究者が成果を発表。後半は、将来を嘱望される研究者の主導による、医学・生物学分野における創造的かつ先端的な研究について助成する「医学部プロジェクト研究」の採択を受けた研究3件について代表者が報告し、各発表について活発な質疑応答や意見交換を行いました。また、研究期間中の11テーマについても、中間報告として進捗状況をポスター発表しました。

終了後には大学院医学研究科の小林広幸研究科長が、「多くの成果が報告され、学部全体の研究の方向性や展望が見えてきたように思います。医学部内の各分野はもちろん、工学部や理学部、他大学などとも連携を図りながら、患者さんに応用できる先端研究や臨床研究が行われることを期待しています」と語りました。

なお、発表者と研究テーマは以下のとおりです。
◇口頭発表
【医学部研究助成金(重点的研究)終了報告】
1.大友麻子助教(基礎医学系分子生命科学)
 運動ニューロンの極性と軸索伸長制御を可能とする新規培養系の確立
2.近田裕美特定研究員(基礎医学系分子生命科学)
 エストロゲンを介したエネルギー代謝制御機構の性差の解明
3.三浦浩美特定研究員(基礎医学系分子生命科学)
 ゲノム編集技術による遺伝子治療法の開発に有用な、評価系モデルマウスの開発
4.安斎和也助教(内科学系消化器内科学)
 肝前駆細胞の発生過程における分化制御
5.内堀雅博臨床助手2種(外科学系口腔外科学)
 HRASおよびNOTCH1による口腔扁平上皮癌病態解明
6.宮澤昌樹特定研究員(専門診療学系産婦人科学) 
 卵巣明細胞腺癌におけるシリビニンを用いた新規HIF-1阻害薬の開発と有効性の検討
7.松本知博講師(専門診療学系画像診断学)
 生体適合性ナノダイヤモンドの新規MRリンパ管造影法開発:In vivo study

【医学研究基金報告】
1.小路 直准教授(外科学系泌尿器科学)
 前立腺癌に対する3次元的局在診断に基づく局所治療の確立

【医学部プロジェクト研究報告】 
1.小見山智義准教授(基盤診療学系臨床薬理学)
 神経調節性失神の病態の原因解明
2.増田治史准教授(基礎医学系生体構造機能学)
 移植再生医療への応用を目的とした培養血液細胞群の血管再生・抗炎症・免疫寛容の統合的増強効果に関する検討
3.川田浩志教授(内科学系血液・腫瘍内科学)
(代理発表者:六車ゆかり特任助教)
 多発性骨髄腫モデルマウスを用いたがんニッチをターゲットとする治療法の開発

◇ポスター発表
【医学部研究助成金(重点的研究)中間報告】
1.加藤 明准教授(基礎医学系生体構造機能学)
 ストレス負荷が引き起こすアロスタシスが運動学習に及ぼす影響とそのメカニズム
2.恒松鈴香(基礎医学系分子生命科学 大学院医学研究科2年次生)
 筋萎縮による歩行異常を示すAGA3変異マウスの表現型解析及び原因遺伝子探索
3.八幡 崇准教授(基盤診療学系再生医療科学)
 造血幹細胞の運動性制御機構の解明
4.中野泰博特定研究員(基盤診療学系再生医療科学)
 成熟肝細胞を起源とした肝前駆細胞の線維肝再生における機能の解明
5.関根佳織講師(基礎医学系生体構造機能学)
 重症心不全に対する細胞シート移植による再生環境細胞治療の確立
6.河野光智准教授(外科学系呼吸器外科学)
 肺悪性腫瘍に対する経気管支的凍結融解壊死療法の開発
7.高木岳彦講師(外科学系整形外科学)
 上肢切断患者へのNerve-machine interfaceに基づいた筋電義手の開発

【プロジェクト研究中間報告】
1.大塚正人准教授(基礎医学系分子生命科学)
 CRISPR/Cas9系による遺伝子挿入基盤技術の構築と病態解析モデルマウス作製への応用
2.佐藤健人准教授(基礎医学系生体防御学)
 ヒトiPS細胞とゲノム編集技術を用いた「オートファジー病」研究
3.穂積勝人教授(基礎医学系生体防御学)
 造血前駆細胞の未分化性維持と腫瘍発生の分子基盤解明
4.長谷部光泉教授(専門診療学系画像診断学)
 血小板のメカノバイオロジーに基づいた次世代血管内留置型デバイスの開発

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