2019年度第4回東海大学「健康スポーツ科学セミナー」を開催しました

大学院体育学研究科では1月15日に湘南キャンパスで、2019年度第4回「健康スポーツ科学セミナー」を開催しました。このセミナーは、学内外から健康やスポーツ科学の専門家を招くことで大学院生や教職員に知識の幅を広げてもらおうと、年に4回開いているものです。今回は、首都大学東京准教授の西島壮氏を講師に招き、「研究の心構え:ネガティブデータはチャンスの前兆?」をテーマにご講演いただきました。

「身体活動・不活動と脳機能」と「脳機能に対する運動と栄養の相互作用」について研究している西島氏は、「『発育期のマウスが運動すると海馬が増加する』という研究成果が出た1990年代は、運動と脳科学の研究が非常に発展した時代」と説明。一方で、「この結果を受けて行った運動と栄養の相互作用に関する研究では、“栄養の摂取が運動効果に作用しない”という結果が出たほか、海外の論文には運動は脳の発達に悪影響であるという研究成果が紹介されました。この結果に納得できず、さまざまな文献を確認したところ、運動が脳にいい影響を与えるのではなく、身体不活動が脳に悪影響を与えるという報告があることに気づき、身体不活動についての研究を始めました」と振り返りました。西島氏は、「研究では予想外の結果から新たな考え方や事実が見えてくる場合があります。実験の前後で数値に差が出ない場合も、“差がない”ということに意味があると考えることが重要。広い視野を持って研究に取り組んでください」と語りかけました。

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