芸術学科音楽課程3年の石原さんが制作した電子音楽作品が「ボンクリ・フェス2022」で発表されました

教養学部芸術学科音楽課程3年の石原遼太郎さんが制作した電子音楽作品が、7月15、16日に東京芸術劇場で開催された「ボンクリ・フェス2022」で発表されました。同フェスティバルは「今の時代の音楽をより多くの人々に楽しんでもらいたい」との思いから、世界的に活躍する作曲家の藤倉大氏が選んだ世界中の「新しい音」をあらゆる世代の人に楽しんでもらうことを目的に開かれたものです。石原さんの作品は同フェスティバル内で本学科の檜垣智也准教授が監修するブース「電子音楽の部屋」で上演されました。

石原さんは2年次生のころにビデオカメラを用いた電子音楽作品を制作したことをきっかけに、自主的に楽曲の制作を開始。5月上旬にゼミナールで指導にあたる檜垣准教授から誘いがあり、「現時点で自分がどれくらいの作品を作れるか試したい」という思いから参加を決意。その後は約3週間かけて『Aria (rethink)』という題名の電子音楽作品を制作しました。ドイツの作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハの《ゴルトベルク変奏曲》(BWV.988)の冒頭2小節と6拍のみを楽曲の素材に用いて、オリジナルの質感を残しつつも滞留的かつ無時間的な作品に仕上げました。石原さんは、「電子音楽作品を発表するのは初めてのことで、このような機会をいただきとてもうれしく思います。技術面やコンセプト設定などにはまだまだ未熟な部分もありますが、多くの人に聞いてもらいたいと考えています。また会場内で他のアーティストの作品を聴いたことで表現のアプローチ方法など創作意欲が刺激されたので、次の楽曲制作にも取り組んでいきたい」と意欲を見せました。また、石原さんは楽曲制作だけでなく、電子音楽の部屋のプログラム作成にも協力。イギリスの音響技師であり作曲家のダフネ・オーラムの解説を担当し、日本語文献が少なかったためCDのブックレットを訳した情報をもとに紹介文を書き上げました。

檜垣准教授は、「音楽のスタイルがまだ完成していない若いうちに、自分で制作した作品を大きな会場で多くの人に聴いてもらうことで、アーティストとして大きく成長できると考えています。今回の経験や作曲活動を通して、自分がやりたい音楽を見定めていってもらえれば」と語りました。なお、檜垣准教授は電子音楽の部屋を監修するだけでなく、同フェスの電子音楽コンサート「大人ボンクリ」で自身の作品『オルニガ』を披露しました。